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5月5日(火)-「パックマン」は「神拳」-

 小生にとっての5月3日は「ゴールデンウイーク」の中日(なかび)ではない。WOWOW・「エキサイトマッチ」の「怒涛のビッグマッチ・ライブ」デーである。
 何時ぞやボクシングについて能書きを垂れたが、現在怒涛の快進撃を続けているファイターは、われらの東洋が生んだフィリピンの”今や”世界的英雄・「マニー・”パックマン”・パッキャオ」(Manny ”Pacman”Pacquiao、1978年フィリピン南コタバト州生まれの30歳)である。ここでのミドル(middle)はニックネームである。対戦相手はイギリスの自称・「デブなビール喰らい野郎」のリチャード・”リッキー”・ハットン(Richard “Ricky”Hatton)である。
 パッキャオは元4階級制覇王者で、元2階級制覇の強豪リッキー・ハットン(1978年、英国生まれの30歳)を迎え、IBOスーパーウェルター級タイトルマッチ12回戦を戦い、2回2分59秒のTKO(Technical Knock Out=いわゆるレフリーストップ)でマットに撃沈させた。1回残り57秒、それまでもしばしば顔面を捉えていた右のフックが、ハットンの左のフック気味のリードパンチに対して、自身の体を右に移動させてかわし、瞬時の右フックを左顔面に的中させ、最初のダウンを奪う。1回終了間際にもパッキャオの「御家芸」である怒涛の、目にも留まらぬ突進劇の左右連続パンチで2回目のダウン。2回中盤までには幾分回復したかに見えたハットンだが、1回目のダウンを喫した右フックを警戒する余りか、サウスポーであるパッキャオの左の拳の「聖剣」を無防御(ガード無し)で、顎の先端に被弾。ハットンはピクリともせずに失神・TKOとなった。「聖拳」と呼ぶに相応(ふさわ)しいカウンターの左フックであった。われわれボクシング狂にとって、パッキャオの左はゴッドハンドならぬ「ゴッドフィスト」(God Fist)=「神の拳(こぶし)」である。
 この試合でパッキャオの戦績は54戦49勝(37KO)3敗2分となった。今回のIBO世界ライトウェルター級をはじめ(最初のフライ級王座より7階級上である)、さかのぼればWBC世界ライト級、WBC世界スーパーフェザー級、WBCインターナショナルスーパーフェザー級、WBCインターナショナルスーパーバンタム級、WBC世界フライ級(最初の王座)を制してきた。対戦相手も今回のハットン、そして2008年12月6日のオスカー・デ・ラ・ホーヤ(米国)を筆頭に、エリック・モラレス(メキシコ)、マルコ・アントニオ・バレラ(メキシコ)、ファン・マヌエル・マルケス(メキシコ)などそうそうたる面子(メンツ)である。
 ハットンは自分よりも軽量(下のクラス)のパッキャオに敗れた形だが、それでも誰もが認める”つわもの”のブル(Bull=未去勢雄牛)ファイターである。2007年12月8日、後述の当時WBC世界ウェルター級王者のメイウェザーに挑戦し、10回TKO負けを喫したのが最初の敗戦で、今回で2敗となったが、47戦45勝(32KO)の堂々たる戦績である。まだ30歳、引退は無いだろから、数年後のパッキャオとの再起戦を期待しよう。
 パッキャオの次戦は、2007年5月5日の「世紀の一戦」で、元6階級世界制覇のデ・ラ・ホーヤを倒し、最近現役復帰を表明した無敗の元5階級制覇王者フロイド・メイウェザー・ジュニアとの超ビッグマッチの可能性が浮上してきた。「実現は確実」と、われわれ狂人は今から胸騒ぎがする。その前に、メイウェザーが前出のマルケスに勝たなければならないが・・・。「熱い夏」になりそうだ。
 
 パッキャオはこの試合のファイトマネーだけで約12億円を稼いだ。PPV=Pay Per Viewなどからの報酬は如何程か。今後のファイトマネーなどへのハットン戦の貢献を考えると、今回の「ビッグ・マッチ」は正しく「ビッグ・”マネー(money)”・パッ・・・キャオー・・・キャオー・・・キャオー・・・」であった。凄過ぎる5分59秒のリング上での戦いであった。

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