「理念」とはよく耳にするが、難解な言葉だ。広辞苑の②によれば「俗に、事業・計画などの根底にある根本的な考え方」とある。
このところの「鳩山政権」も波長の違い過ぎる「電磁波」で脳味噌が侵され、まともな飛行が不可能になりつつある。そこで、政治の理念というか、民主主義の理念というか、行政の理念というか、財政の理念というか、資本主義の理念というか、経営者の理念というか、そんなものについて考えてみた。
●<小さな政府と地方分権>
例えば中国の政治を司る首脳は胡錦濤国家主席と温家法首相で、国家間と国内の政(まつりごと)をそれぞれ担当する。米国ではオバマ大統領が国事(国家間や国際問題)を、各州の知事が州事を担う。詳細は知らぬが、日本もどちらかを選択しないと、総理大臣の守備範囲が広すぎて、守りきれないどころか、コールド負けしそうである。戦後65年、今の国際状況は複雑すぎる。今や、総理大臣はアメリカ大統領のスタイルでもないと、執事に支障をきたすのだ。きたしているのだ。地方(知事)に権限を委譲するということは、もちろん、財源も譲り渡すということである。
●<目的税>
最近、世界の株価は上昇しているが、日本の株価だけ上がってこない。円高の影響が大きいかも知れない。が、どうも気になるのが、「年金」だ。社会保険庁もいよいよ民営化されるが、なったとしても年金受給年齢や納付率がすぐに解決するわけもない。老後の不安と景気回復。老後が保障されるなら、旅行も大物買いも・・・・・、気持も大きくなるというものだ。老後の社会保障や福祉は、やはり目的税でないとまずかろう。
●<子供手当>
日本の人口。縄文時代は30万弱、弥生時代が約200万、鎌倉が約700万、江戸は通しで約3000万強、太平洋戦争開戦時が8500万、そして最近が1億2700万人。これからは坂道を転がるように減少の一途。「子は国の宝」。少子化対策の具体案も乏しい。本県選出の福島瑞穂大臣、奮闘してくれ。所得制限はしないほうがよい。これは「鳩」君、いい判断だ。「いじめ」の原因をつくってはならぬ。高額所得の人は、即刻他で消費して、世の中に「金」を回すのが必須条件だ。それが道理というものだ。
●<受益者負担>
高速道路料金無料。「タダより安いものはなし」。が、トラック業界や商社マン達はたまったもんじゃない。高速道路の無料化により、遊んで廻る人間が増え、御蔭でまともな仕事ができない。鉄道や海運業にも甚大な迷惑を掛けている。昔の築城や運河建設みたいに、民の無償労役が道路でも通用すれば、別の話だが。原則は「受益者負担」。ただし、道路公団やその他もろもろの付属物と天下りを一括整理し、料金を可能なかぎり安くするのは当然だ。元より、遊んでいる人間が、真剣に仕事をしている人間の邪魔をする、これは不条理でなくて、何だ。
宮崎大学医学部付属病院では、患者以外の人間が面会や見舞で来院し駐車場を利用する場合、駐車時間が30分を超えると200円払う。なかなかいい制度である。県病院が今年度も赤字決算間違いなし。決算書を見ていないので詳細は知らぬが、箱もの(病院の建物)と設備が税金で賄われ、最初の投資が単年度の決算に関係ないはずなのに、単年度の収支が「赤」。放漫経営そのものだ。到底、民間では考え難い。民間では「黒(利益)」を出して、それから税金(法人税)を払い、その残りと自身の給料(当然、これから所得税や県と市の住民税、健康保険料などが引かれる)で借金を払う。動物病院(当院)では、完済に10年は掛かる。赤字の県病院で、駐車場や当直の職員などの経費分くらいは、面会者に負担願っても不条理ではあるまい。
ついでに、体育館や球技場などの公共の施設の使用料も安すぎる。これも人件費や諸経費くらいはペイさせないとまずかろう。「受益者負担」とはそういうものだ。
どこかの県知事の弁に逆らうつもりは毛頭ないが、マニフェストに慣れていない有権者、長引く景気低迷(後退のほうが正しい?)による税減収、・・・刻々と状況の悪化している現在、首長の頭がコンクリートなのも困る。フレキシブルな対応が必要だ。世論はフレキシブルだ。
●<名古屋の市民税減税>
名古屋市の市民税を一律10%減税する(例外あり)。河村たかし市長に賛成である。行政という輩は、長年染み込んだ本能とも言うべき体質で、入ってきた税金(歳入)を全て使い切ろうとする。使い切るのが優秀な行政マンになるのだ。裏金まで拵えるザマ(態)である。議会(議員)も同じ穴の狢(ムジナ)かもしれない。歳入が減少すれば、給料や手当のカットになると考えるからだ。しかし、1人でこなせる仕事を、楽をするために2人でやっていたのであって、本来の1人に戻せばすむ話だ。・・・などなど、無駄はいくらでも減らせる。縦割りをやめ、時代にそぐわない古臭い条例は廃止する。選挙に出て当選するくらいの技量があれば、「政治屋」でなくとも飯は食っていけよう。職員の給料やサービスの質を維持したままで歳出を縮小できる術は必ずある。そうでないと日本丸は沈没するのである。
「伝書鳩」は優れもの。電磁波を感知してか知らぬが、自分の塒(ねぐら)に帰る「帰巣本能」によって、連絡文書や薬などを運び人間の役に立ってきた。ところが、最近の鳩(レース鳩)は、携帯電話の電磁波の影響なのか、どうも上手く飛んでくれないらしい。「由紀夫鳩」も周りの電磁波に惑うことなく、常に、「理念」という塒に帰巣しなければ、国が危うい。
つづく