「亀」の電磁波が光ものかエックス線ものかは解らぬ。それも日本の明日(あした)を見透かせるほど波長が長い(周波数が低い)かも、頓と珍紛漢だ。「鳩」君はじめ各大臣の「勝手気まま言動」で、「鳩」内閣も前途多難の様相だ。されど、「脱・官僚」で「政治主導」を貫こうとしている姿勢は評価に値しうる。各大臣も近い将来の総理候補レースに遅れじと、切磋琢磨だから、多少の過ぎたる発言も、許容範囲か。異様にまとまるのも、逆におぞましい。今回は、日本の生きる術と日本国の理念について考えてみた。
●日明貿易:「日本国王の名義で派遣された遣明船(勘合船)による貿易をいうが、倭寇も密貿易による日明間の交易である。日本からは銅・硫黄・刀剣・漆器が輸出され、明からは銅銭・生糸などが輸入された。」(日本史B(A併記)用語集・全国歴史教育研究協議会編・山川出版社、110ページ)
●勘合貿易:「1404年、足利義満が明と勘合による朝貢貿易を始めた。足利義満の死後、子の義持は朝貢の形を嫌って中止したが、義教が再開した。はじめ幕府が管理した勘合の発給の権利も、応仁の乱後は細川氏・大内氏がその権利を争ったすえ、大内氏が独占した。1551年大内氏の滅亡で廃絶した。」(同、110ページ)
●貿易とはいったいなんぞや:
貿易は、基本的には各国の間で財の相対的な価値や生産費に差がある場合に行われる。国内の企業から買うよりも外国の企業から買う方が、運賃や保険料などの経費を負担しても安くつくから、商品は輸入されるのである。貿易が行われる根拠を国際間の相対的な生産性の差異という面から明らかにした理論が、比較生産費の理論あるいは比較優位の理論である。国によって比較生産費差(比較優位差)が出てくる背景には、各国で気象条件や地下資源などの自然条件が違い、それぞれの国に適した生産物があること、経済発展段階や社会の状況が異なり、資本蓄積の程度や労働の質に差異があること、国際間で技術水準が異なること、などの要因がある。(YAHOO!百科事典)
日本には資源が無い。石油も、レア・メタルも、そして食物さえも覚束無い。「経済なくして財政なし」とは、昨日の藤井財務相の言だ。良い暮らし、良い教育、良い福祉、良い老後、良い医療・・・を望むなら、財源が要る。その財源、いかように捻出するのか。
日本の大企業や外国で活躍できる企業は、輸入した資源に手を加え、大いなる付加価値をつけてそれらを輸出する。また、質の高い技術を引っ提げて、外地の格安労働力で現地生産する。そうして、いわゆる「外貨」を稼ぎ、多額の税金を日本国に納める。同時に関係の中小企業の受注を支える。当然雇用も担う。大まかには、これが資源のない日本の「それなりの生活」を維持するための術(すべ)である。
それでは、現状をどう見るか。リーマン・ショックが招いた100年に一度の「世界経済不況」。トヨタもホンダも、その他の業種も押し並べて、国内はもとより、世界中で販売が激減した。それだけと言わないが、今回の世界不況で日本国の税収は約9兆も減ったわけである。
●ただでさえ国家予算の約半分が国債に依存しているのに、これだけの税収減。追撃ちをかける「政権奪取」の素となった「民主党の選挙マニフェスト」の「子供手当」や「高校の授業料無償化(私立は補助増)」。
●「財源が無いことには何もかも回らない」。経済が上向き、税での歳入が増えなければ、福祉を、医療を、教育を・・・充実させることは不可能であることを再認識しなければならない。悲しいかな、これが現実である。教育の機会均等、福祉の充実、医療の高度化・・・などを望むなら、この「理念」を甘受せざるを得ない。「拒むのも個人の自由である」とも、軽率には発せられまい。それは資本主義を完全否定することになりかねないからだ。
●優秀な人材を掘り起こすために教育を充実させ、それを支える人口を増やす。人材や高度技術への投資を惜しまず、世界に羽ばたく「人材・技術国家」を築き、「外貨」を稼いで国益とし、これを再分配して教育や福祉、医療の充実を図る。
●もちろん、異論も多々あろう。資源のない日本国。高価で国際競争力の貧弱な農産物。近い将来も遠い将来も「今以上の生活レベル」を望むのであれば、これが「日本の理念」でなくてはなるまい。「内需拡大」と簡単にいうが、そうは簡単に問屋が卸すまい。
●仮に、800兆を超えた国の借金を、現在あるとされる国民の預金(現金化できるもの)の約1500兆で、「御破算」することができるか。その勇気があるか、許されるか、暴動が起きないか、日本国脱出が起こらないか、だが・・・。
●「財政の財源」とその礎を成す「貿易による外貨」。高校の社会科は世界史を選択したので、どうも日本史に弱いが、室町時代の足利義満(3代将軍、1358~1408)の「日明貿易」を思い出した。調べるに、「日明貿易」の主な貿易品は輸入品に銅銭、生糸、綿布、高級織物、陶磁器、書籍、書画、薬草、香料、大唐米があり、輸出品には刀剣、鎧、銅、硫黄、金、蒔絵、扇、武器、屏風、漆器、硯、蘇木(蘇芳=スオウ)があった。(同、110ページ)
義満は金閣寺をつくったので有名だが、それが「日明貿易」による外貨の賜であったかは、いざ知らず、輸出品が何かのヒントを示しているようでならない。
※金閣寺は1397年に改築・新築された。
※日明貿易時の銅には銀が含まれており、明では輸入後にその銀を抽出していた。技術の差があったのである。
※現在もであるが、日本の踏鞴(たたら=鞴=ふいご=吹子)で作った鋼(たまはがね)の日本刀は世界一。
まだまだ、つづく。