●日本の国防をどうするか。国力と戦力で仮想敵国の脅威を凌いで大捷可能か。アメリカの「核の傘」と「在日米軍」に頼るしかないのか。日露戦争での日本の勝利に最も脅威を抱いたのは他ならぬアメリカであった。いづれアメリカの敵国に肥大化することを感じとった。仮に戦後1世紀となる30年後、日本は「米軍一掃」を果たし、歴とした軍事独立国になるとしよう。国防費を予算の何割も費やし、開発した軍事技術や武器で外貨を稼ぐ。原発で余ったウランを利用して核を製造し、これまた外国に売りまくる。そうでもしない限り、今でさえ日本一国で東アジアの脅威に立ち向かい討ち勝つのは艱難辛苦の極みだ。尖閣だってアメリカの後ろ盾なくしてなんで守れようか。悲しいかな悩ましいかな、現実は動かし難い。日本が核を保有しようものなら、世界はこぞって日本を「世界の村八分」にし、エネルギーなどありとあらゆる資源や物品の交易を絶つことは必至だ。そのために現在のように沖縄だけに米軍基地の負担を一身にひきうけさせるのは忍びない。対話か国際裁判で決するしかないのだろうが、武力衝突が起こらないのは両者の「国力」と「軍事力」の均衡あるも否めない。各党党首の参院選挙演説は聴くに堪えない。まるで小学生に向って根拠ない空論を吐いているようだ。つづく。7月4日。
●日清戦争(1894年7月21日~1895年11月30日)は朝鮮の東学党の乱(甲午農民戦争)が直接のきっかけで開戦となったが、その10年前から遠因となる事件があった。1874年の日本軍による「台湾出兵」がそれだ。「事の発端は、1871年に琉球藩(現在の沖縄県)からの漂流者54名を、台湾の先住民が殺害したことにあった。さらに、この事件の2年後には、小田県(現在の岡山県・広島県の一部)の漂流民4名も略奪と暴行を受けてしまう。こうしたことから、日本軍は国民と航路の安全確保を理由に、約3600名の部隊を台湾に派遣したのである。」。日本軍の台湾出兵で、日本と盟主国の清国との間に1874年10月、「日清両国間互換条款」が成立し、約50万両の償金と引き換えに日本軍は台湾から撤兵した。これ以降、清国は日本を敵国と認識するようになったのである。(「教科書には載っていない 日本軍激闘の真相」彩図社・日本軍の謎検証委員会編)。きのうの「9党党首討論会」で安倍ちゃんの勉強不足には閉口した。「元首相の中曽根康弘氏が『朝鮮半島と中国への侵略認識を表明したことはない』」との一点張り。ところが真実は、ある予算委員会できっちりきっぱりさっぱり明確に侵略を認める首相答弁が映像にある。背番号「96」の主審といい、航空自衛隊の曲芸飛行隊・ブルーインパルスの機体番号の「731」といい、答弁が主観の塊で、ちょいと客観性に欠けて、思い込みが激烈であり、深慮が貧弱で、大局な上策政治の舵取りができる漢(おとこ)なのか、疑念を抱かざるを得ない。つづく。7月4日。
●日中首脳会談の開催条件として、中国側が安倍ちゃんに、①両国間に領土問題は存在する、②尖閣の「棚上げ」を打診して、晋三君はこれを蹴った。当然だ。日露戦争開戦の原因は、日清戦争で勝ち取った遼東(リャオトン)半島の放棄を要求し(露仏独の三国干渉)、これを日本がのんでそこを清国に返還すると、これ見よがしに露は1898年に清国と旅順・大連租借条約を結んで遼東半島を手に入れ、基地を造り、艦隊を駐屯させたによる。。さらに清国の秘密結社が蜂起して起こった「義和団事件」(列強各国への抗議)の鎮圧後も露は満州に居座り、朝鮮半島まで食指を伸ばす勢いであった。要は、露は朝鮮半島を武力制圧する可能性が生じ、その延長で日本本土の主権までが脅かされそうになった(少なくとも当時の明治政府はそう感じた)。遡って日清戦争の原因もやはり朝鮮半島における清国と日本の覇権争いにあった。尖閣と竹島は文字通り、大海上に孤立小突出した「島嶼」(嶼=小さな島)であるが、強制占拠などで一触即発しかねない、東シナ海と日本海の「火薬嶼」なのだ。そこを日米安全保障条約なくして日本独自(時前)の「戦力」で太刀打ちできるかが悩ましいのだ。つづく。7月2日。
●日露戦争での日露の戦力兵力の差は歴然としていた。日本の国家予算2億5千万円に対して露は20億円。露の常備軍200万人に対して日本は20万人の常備軍と10万人の予備軍。かつ露はシベリア鉄道の「連日九列車」(坂の上の雲四p303)で兵士を動員補充する。日本は兵士と砲弾の製造・移送、補員が著しく間に合わない。織田信長の桶狭間(1560年の今川との戦)は、奇襲による例外的勝利であり、その後のいかなる戦いでも信長は戦力(兵数・鉄砲隊)を重視した。日露戦争で日本が少なくとも敵を後退させ傍目に優勢を顕示できた要因のひとつは、露側が戦術として後退し、日本側の前線を奥地まで誘い込み兵糧砲弾の類の移送に困難を来そうとする意図があった。結果では、短期決戦で優位に立ち、いい頃合いでアメリカが仲介する講和にこぎつけたかった日本の思惑通りになったが、あと少しでも長期化すれば日本の敗戦は確実だったという。とまれ、戦争は「戦力」が相手より如何に優るかによって決する。「寡は衆に敵せず」(衆寡敵せず)(孟子)ということだ。が、日本は露司令官の拙攻とロシア国内の政情不安、そして「バルチック艦隊のハンデ」(「日本軍激闘の真相」)などで辛勝した(吉村昭著「ポーツマスの旗」・新潮社)。「国防軍」になればアメリカの意思に追従して「集団的自衛権」を超えて対テロや紛争地域への戦闘にも狩り出される。スイスのように「永世中立国」となって中国などの脅威に苦悩しないかというと、これもまた悩ましい。つづく。7月2日。
●日露戦争で日本が勝てたのは①優秀な将校が多くいた(山本権兵衛・東郷平八郎・秋山真之・広瀬武夫・児玉源太郎・大山巌・秋山好古・黒木為楨・奥保鞏・野津 道貫・・・・・・)、②よく国を想い、かつ勇敢な下士官と兵卒、③(主にイギリスの会社に製造を発注・一部はイタリア)三笠などの世界に冠たる戦艦や三十年式歩兵銃(「村田銃」の生みの親・村田経芳の「二十二年式村田連発銃」を有坂成章が改良)、下瀬雅允が発明したピクリン酸の火薬を使った砲弾などの世界に誇れる兵器、④高橋是清の資金調達力(公債発行と特にユダヤ人ヤコブ・シフとの知遇と彼の資金提供。当時帝政ロシアでは600万人ものユダヤ人がロシア国内で迫害を受けていた)、⑤100万円を投じた明石元二郎大佐の大諜報活動とその成果、⑥ロシア帝国内での政情不安定・・・などであろうか(「坂の上の雲」、「教科書には載っていない日本軍激闘の真相」(日本軍の謎検証委員会・彩図社・2013)を読んで得た親仁の知識)。日露戦争直前と戦中の日本国の歳入は2億5千万円でその半分以上を戦艦購入などの軍備充実に費やした。対するロシアの歳入は20億円であり(坂の上の雲)、開戦時の戦力比較でも歩兵66万対13万(ロシア対日本、以下も同じ)、騎兵13万対1万、砲撃支援部隊16万対1万5千、工兵と後方支援部隊4万4千対1万5千、予備部隊400万対46万と雲泥の差があった(Wikipedia・日露戦争)。誰もが知るように日本側は綱渡り的でも連戦連勝しなければ国債が売れず戦争資金が調達できない状況下に常にあった。つづく。7月1日。
●「調査では、参院選の投票に行くかどうかも尋ねた。「必ず行く」が60%で、「たぶん行く」の30%と合わせると9割。10年参院選の調査では、「必ず」が7割、「たぶん」が2割だったが、実際の投票率は57.92%(選挙区)だった。前回の例からみると投票率は横ばいか、下がる可能性もある。」(毎日新聞)。特に若者が選挙に行かないと「政治は、日本は変らない」。50歳以上の有権者数が5割を超えたという。年金問題にしても医療費にしても殆どの政党の政策は「高齢者寄り」だから、自然と高齢者の投票率は高い。というか、律義からなのか選挙が好きからか高齢者は危険率が低い。真実は高齢者の票を期待して「高齢者受け」の公約を謳って釣るのであろうか。言葉は悪いが「援助交際」の構図だろう。この「援助交際」打破には18歳以上への選挙権年齢の引下げもあろうが、何と言っても若者の足を投票所へ向かわせることだ。先の都議会議員選挙のように投票率が5割を切るようでは(実際は43.50%)、もはや民主主義の範疇を超えたその根幹を揺るがす次元の数字だ。挙っての集票マシーンである組織や団体や特定の受益者の思う壺だ。ペナルティー制度を法制化してでも投票率を上げる段階にある。若い人に選挙に行って「投票癖」を身に着けさせることだ。「ネット選挙」とは政党や候補者のためのツールで無く、一票を投ずる市民の盛り上がりのアイテムであって欲しい。7月1日。
●戦争はないほうがいいに決まっている。山本五十六が真珠湾で第2波攻撃をしてアメリカの戦力をさらに叩いておけば(実際には主力戦艦はそのとき退避していたが)・・・旗艦の「武蔵」や「大和」で囲碁を打ったり、前線の命令でどの程度の戦果があるか(たとえば何隻の戦艦を撃沈させるか)を隷下とビール賭けしていなければ・・・太平洋戦争でアメリカに勝っていたかというとそうではない。実際負けた。戦力や財力、科学力など総合的な「国力」が断然劣っていたからだ。自民党が国防軍に拘(こだわ)る理由は「集団的自衛権」を獲得できるからだ。集団的自衛権の極論は日米安保条約で同盟国のアメリカが戦争をすればそれに加担できるということだ。※集団的自衛権とは「国連憲章第51条で国連加盟国に認められた、ある国が武力攻撃を受けた場合、これと密接な関係にある他国がその武力攻撃を協同して排除しうる権利。自衛権の一種。」なぜか(広辞苑)から。重要なことは、自民党や維新の会が目論む憲法(第9条)改正は「自衛隊」が「国防軍」に単純に名前が変わるということでないという点だ。つづく。6月30日。
●写真の現行憲法に対峙しる自民党草案はどこがどうちがうのだろうか。※第9条の1(平和主義)日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。第9条の2(自衛軍)1.我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮権者とする自衛軍を保持する。2.自衛軍は、前項の規定による任務を遂行するための活動を行うにつき、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。3.自衛軍は、第一項の規定による任務を遂行するための活動のほか、法律の定めるところにより、国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動及び緊急事態における公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動を行うことができる。4.前二項に定めるもののほか、自衛軍の組織及び統制に関する事項は、法律で定める。9条の1項は現憲法に同じだが、2項が改正の標的だな。つづく。6月30日。
●来たる参院選に向けて新聞で各党の(なぜかマニフェストではない)公約が公開されるようになった。政権与党である自民党の外交・安全保障に関する公約のネット版を見た。※日米同盟の強化のもと、国益を守る、主張する外交を展開します。/官邸の司令塔機能を強化するため、「国家安全保障会議」を設置します。/日本の平和と地域の安定を守るため、集団的自衛権の行使を可能とし、「国家安全保障基本法」を制定します。/防衛大綱・中期防を見直し、自衛隊の人員・装備・予算を拡充します。/憲法改正により自衛隊を国防軍として位置づけます。/統合運用を進め、自衛官と文官の混合組織への改編、部隊運用組織の統合など防衛省改革を推進します。/米国の新国防戦略と連動して自衛隊の役割を強化し、抑止力を高めるため、日米防衛協力ガイドライン等を見直します。/在日米軍再編を進める中で、抑止力の維持を図るとともに、沖縄をはじめとする地元の負担軽減を実現します。/国際貢献をさらに進めるために、「国際平和協力一般法」を制定します。/わが国の主権と領土・領海を断固として守るため、国内法や組織・機関を整備し、海上保安庁等の人員・装備・予算を拡充します。/「特定国境離島保全・振興法」、「無人国境離島管理法」を制定し、「領海警備法」の検討を進めます。/尖閣諸島の実効支配を強化し、島と海を断固守ります。/「対話と圧力」の方針を貫き、拉致問題の完全解決と核・ミサイル問題の早期解決に全力を傾注します。/「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、TPP交渉参加に反対します。/コンピュータやインターネットへの不正侵入、データ破壊、情報漏えいなどへの対策(サイバーセキュリティ対策)を強化します。/原発警備対策などテロ対策を強化します。/国際犯罪組織の取り締まりなど組織犯罪対策を強化します。/中長期的な外交・安全保障戦略に基づくODAの重点化・効率化と有効活用を図ります。/貧困撲滅や難民救済など「人間の安全保障」を積極的に推可能とし、「国家安全保障基本法」を制定します。/在外公館と海外公的拠点(JICA、JBIC、JETRO、国際交流基金等)の施設統廃合や調達共用化によりコストを削減します。つづく。6月30日。