●「『小嬢(こいと)さまよ』
と、源爺(げんおん)ちゃんが、この日のあさ、坂本家の三女の乙女(おとめ)の部屋の前にはいつくばり、芝居もどきの神妙さで申しあげたものであった。
『なんです』
と、乙女がうつむいて答えた。手もとが針仕事でいそがしい。あすという日は、この屋敷の末っ子の竜馬(りょうま)が、江戸へ剣術修業に旅立つ。・・・・・・」
これは「竜馬がゆく」の冒頭の文章である。このたび、司馬遼太郎の未発表原稿「『竜馬がゆく』がうまれるまで」が文藝春秋の2月新春号(pp146~151)に載っている。53年前に書かれた名作「竜馬がゆく」の誕生秘話である。初出は昭和38年1月の産経新聞社内報という。今年は司馬遼太郎が逝って20年。司馬作品の完全読破にはまだ遠いが、仕事と睡眠以外で最も時間を費やしていることだけに、この原稿内容は感慨深い。1月12日。
●純心というか純正というか正統というのか、理想のイスラム国家のことを「イスラームの家」と言うらしい。「イスラームの家」は、イスラーム法によって治められる土地(地域)であり、それ以外の地域を「戦争の家」と言う。「イスラームの家」は理念的には一つで、イスラーム教徒であれば、人種、民族、国籍を問わず、たとえ「戦争の家」の地域に住んでいても、ウンマ(=イスラーム共同体=イスラーム国家)の一員として、誰でも受け入れ、自由に移動できる。イスラームの統治は「神の法」が治めるのだが、実際には法の解釈が微妙に違うことがあるので、そこで最終的な判断を下す「人間」が必要となる。それが「カリフ」である。イスラム国(IS)のバグダーディーもカリフを名乗っている。このカリフには漠然とした条件がある。まず、ムハンマドの部族であるクライシュ族出身であること、イスラーム法の知識をもっていること、戦闘能力を保持していることなどである。ISのバグダーディーはこの要件を満たしているかもしれないが、何といっても彼は他のイスラーム諸国から全く認められていない。カリフは決して独裁者であってはならず、その役割は戦争をするかどうかの決定、ザガー(喜捨)やジズヤ(人頭税)の徴収や配分、裁判官の任命といった程度である。それ以外はイスラーム法に任せていれば、社会は勝手に回る・・とういのがイスラーム国であるのだ。イランの経済制裁が今月に解除され、欧米などの資本が雪崩れ込むというが、そもそも資本主義とイスラーム法の経済理念とは相容れないから、その時点で理想のイスラーム国家建設は見込めないというか、捨てたことになりかねない。オイルマネーに資本主義資本の流入・・・イランに限らずサウジアラビアにしろその他のイスラーム諸国にしろ「イスラームの家」の建設何ぞもはや手遅れの感ありだ。1月12日。
●そもそもですね・・・同盟関係なんて怪しいもんです。大戦時の三国同盟が然りですね。潜水艦でしたかね、ヒットラーから供与されて喜んでいたんですね。そして何よりもドイツが米英率いる連合国に勝てると踏んだのが開戦の大きな理由のひとつでしたね。終戦間際にソ連に対して対米調停を哀願したのもそもそも日ソ中立条約があったからでしょう。ソ連なんてのは最初から裏切るつもりでいたに決まっています。条約なんてその程度のものですよ。日米安保なんてのも切羽詰まったらどうしたものやら。憲法改正で集団的自衛権を容認してアメリカ以外の国と次から次へと同盟を結ぶなんてとんでもない愚策ですね。原油がバーレル当り30ドルを切るかもしれないなんて基本的に日本には願ってもないことでしょ。イランに対する欧米の経済制裁が今月、間もなく解除され欧米の資本がイランへ雪崩れ込み、原油の輸出も増えて更に原油安に拍車がかかれば、サウジアラビアなどのOPEC加盟国の打撃は想像以上になります。サウジアラビアが電気や水道などの税金を増やす状態で、財政赤字も相当に膨れ上がるようです。ペルシャ湾を挟む両国に対する仲介でこそ日本の貢献度を世界に示す良い機会じゃありませんか。防衛大臣の年初のパフォーマンス・・・貴方は武官ではなく、表面上は文民(注)でなくちゃいけませんぞ。下種の極みに見えてしょうがありません。とまれ、同盟関係を謳い、それを明文化するようなことは極力避けるべきなのです。それで日本は失敗してきたのですから。注:文民統制(シビリアン・コントロール)は文民の政治家が軍隊を統制するという政軍関係における基本方針をいう。月11日。
●中谷元防衛大臣がパラシュート降下を想定した訓練。中谷氏は元陸自レンジャー教官だという。「レンジャー!」と叫びながらのパフォーマンス。中東・イスラーム諸国の紛争激化、北朝鮮の核実験と孤立、ロシアの台頭、中国経済の低迷(衰退)と世界経済への不安・・・世界は激動しつつある。そこへもってきて安倍首相の執念の憲法(九条)改正。参院選で圧勝すれば早急な発議は必至か・・・。衆参同時選挙ともなればまさに「憲法改正選挙」である。今までにないような混沌とした状況下では如何なものか。今の国際情勢を冷静に観なくても現日本憲法が「平和憲法」の有難味と世界への貢献を高らかに謳っている・・・と感じませんか。正月早々の安っぽい防衛大臣の飛び降り・・・日本の舵取り大丈夫ですか・・・国民を奈落の底に落し入れないでくれ。1月11日。
●中国の「中華思想」と隣国の「朝貢」。日本も遠い昔には中国に貢いでいた。以下はWikipedia「朝貢」より。『後漢の代より倭国からの朝貢が記録に残る。倭の五王が日本列島の支配者にして朝鮮半島南部の徴発権、軍事指揮権、裁判権を持つ指導者として認可され、中国の南朝に対して断続的に朝貢を続けていた。これは朝鮮半島における支配権を中華秩序の中で承認して貰う(百済は南朝、高句麗は北朝に朝貢している)為である。倭王武は「使持節都督倭・百済・新羅・任那・加羅・秦韓・慕韓七国諸軍事安東大将軍倭国王」と称し、南朝による叙任を求めたが、南朝は「使持節都督倭・新羅・任那・加羅・秦韓・慕韓六国諸軍事」に叙任する(南朝が冊封した百済が省かれている)。これは南朝が朝鮮半島南部の徴発権、軍事指揮権、裁判権は倭国にあると認めた事を意味した。 中国の南北朝時代は、北朝の隋による統一で終焉する。それに従い倭も隋に使者を派遣(遣隋使)するが、国書を携えずに遣使した。二度目の遣隋使において、倭王阿毎多利思比孤は「天子の国書」を送って隋の煬帝を激怒させた。 遣唐使の時代には、日本の側の君主は「天皇」を既に公称しており「唐の皇帝と対等の立場で貿易を行っていた」とされる。しかし天平勝宝5年(753年)の朝賀において、日本が新羅と席次を争い、日本側の言い分を通した事件があり、少なくとも唐からは新羅同様の朝貢国とみなされていた事がわかる。また寛平6年(894年)の遣唐使が菅原道真の建議により停止された際には、理由のひとつとして「遣唐使が朝貢使として扱われている」事が挙げられており、唐から朝貢国として扱われている事実は、日本側でも周知の事であった。しかしながら冊封国である突厥や渤海が同様に席次を争った事例では、唐は要求を却下しており、日本は他国よりは上位とみなされていた。 隋の統一以降、中国の冊封体制に加わることはなかった。五代十国の呉越や、北宋・南宋とも交流があったが、日本の王を自称する藤原氏や平氏などの日本の有力者、中国の民間の商人によるものであり、正式な国家交流ではなかった。呉越国は国交を求めたが、かつて「唐と対等に国交を結んでいた」日本側より拒否されている。』。
※「後漢(ごかん)」は西暦(紀元後)25~220年。「南朝」は「中国で、南北朝時代に江南を支配した漢民族四王朝の総称。宋(420~479)・斉(479~502)・梁(502~557)・陳(557~589)をいう。」(大辞林)。隋は中国の王朝(581~619)。遣隋使は「聖徳太子が随に派遣した大和朝廷の使節。・・・607年の小野妹子の派遣が有名。・・・」(同)。唐は「李淵(高祖)が隋の恭帝の禅譲をうけて建てた統一王朝(618~907)・・・」(同)。遣唐使は「遣隋使のあとをうけ、日本から唐へ派遣された公式使節。国書・物品などを奉献し、唐の文化を摂取する目的で、630年から894年に中止されるまで一六回にわたって派遣された。入唐使(にっとうし)。もろこしの使い。」(同)。中国の中華思想、朝鮮半島の中国への従属、日本の朝鮮半島への覇権・・・・・・いろいろあろうが史実は素直に受け入れるべきだ。三者は切っても切れぬ関係の隣国同士。仲良くしようじゃないですか。1月11日。
●北朝鮮による核実験への対抗措置で韓国軍は8日正午から南北軍事境界線付近の十数カ所で大型拡声機による対北朝鮮宣伝放送を再開。宣伝放送は、昨年8月4日に韓国軍兵士2人が重傷を負った地雷事件を受けて韓国軍が11年ぶりに再開して、その後中止していた。手段もだが内容が子供じみていると思わないか。ふと、小学校のことを想い出した。田舎の小字には二十数軒の家があり、そのなかにはいくつかの「小字のそのまた小字」があった。それは数軒単位である。私の田舎の住所は○○村大字○○(小)字○○○◎◎となる。大字に次いで番地があればそれ以下は不要となる。◎◎が「小字の小字」。◎◎も隣同士は小字のなかでも仲の良くないことが多い。川幅30mを挟んで小学生数人ずつが本気で石を投げ合って喧嘩をしたものだ。小学5年生の時、隣の大字のソフトボールの試合のため遠征したことが一度あった。試合に勝ったあと、きっかけは忘却の彼方だが喧嘩になった。この時も石を本気で投げ合った。相手の一学年上におふくろの末弟がいたのでよく覚えている。学校の帰り道、田圃の真中で一対一の決闘もときにはしたが、石投げが一番多かったように思う。そこで韓国の「宣伝放送」・・・報復とまではないが・・・武力の行使よりも安全だが・・・どうも子供じみていて失笑ものだ。石を投げる時には「お前の母ちゃん出臍」なんて大声を発したものだ。そんなレベルに感じるな。ところで、北朝鮮の現体制の存続を望むのはどの国なのか。仮に北朝鮮が韓国と統一した場合に損をする国はどこか。我が日本も核の脅威がなく、拉致問題が解決するならば北朝鮮の存在は「得」ではないのか・・・それにしても「朝鮮民主主義共和国」である北朝鮮の虐げられた人民の生活と権利が哀しい。今、イスラムについて考えているが、アッラーが望んだイスラムユートピアはこの地上に一国も存在しないのは確かなことだ。サウジアラビアは王家であり、イランも宗教学者の権力政治である。自称「イスラム国=IS」は唯一のカリフを名乗るアブ―・バクル・バグダ―ディー(1971~)が主導するが、誰もどの国も彼をカリフとも国家とも認めていない。日本にしても欧米にしても理想の国には程遠いのが現実だ。1月10日。