●「はやり 感冒 はらふといひて 軒ごとに 張れるしめ縄に 雪つみにけり」
▲この歌(短歌)はわれらが郷土の偉人の筆頭である若山牧水(1885~1928)が1918年(大正7)に詠んだものである。「はやり感冒」とは言わずと知れた「スペイン風邪」である。牧水もスペイン風邪に罹ったかどうかは不明だが、日本人の半数が感染したとされるから、感染の可能性は50%か? 牧水は不肖にも訪ねてきた友人と酒を酌み交わしたとも、何かで書いているらしい。喉の渇きには克てなかったのだ。
▲号である牧水の由来は、「当時最も愛していたものの名二つをつなぎ合わせたもので、母の名の『まき』、故郷(日向市東郷町山陰)の自然(水)」からという。わたし的には、牧は「旅」を、水は「酒」かと思っていたりもしていたが、そうじゃなかったのだ。
▲スペイン風邪と文人・・・・・・文豪、志賀直哉も「流行感冒」と云う短編でスペイン風邪の脅威を書き残している。彼のノルウェーの画家、ムンク(1863~1944)も「スペイン風邪に罹った自身」を画にしている。1919年の作で、ムンクが56歳の時である。ムンクの代表作、「叫び」の4分の1の叫びの程度だ。その「叫び」が生まれたのは1893年なので、スペイン風邪による悲痛な叫びはその26年後の作品ななる。
▲牧水は不覚にも友人と酒を酌み交わしたのだが、その気持ちを良くわかる者として、焼酎の誘惑との(葛藤じゃなく)格闘はまだまだ続く。1月6日の宮崎県内の新規の新型コロナ感染者数は70人以上とのニュース。やはり年末と正月の人の移動が原因か?
1月6日。