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今週の親仁ギャグ・2021年5月16日(日)~5月22日(土)

●「コロナと桶屋
▲「風が吹けば桶屋が儲かる」という慣用句がある。「何か事が起こると、めぐりめぐって意外なところに影響が及ぶことのたとえ。」とある(三省堂スーパー大辞林)。起源は古く、「とかく今の世では有ふれた事ではゆかぬ。今日の大風で土ほこりが立ちて人の目の中へ入れば、世間にめくらが大ぶん出来る。そこで三味線がよふうれる。そうすると猫の皮がたんといるによって世界中の猫が大分へる。そふなれば鼠があばれ出すによって、おのづから箱の類をかぢりおる。爰(ここ)で箱屋をしたらば大分よかりそふなものじゃと思案は仕だしても、是(これ)も元手がなふては埒(らち)明(あか)ず」(無跡散人著『世間学者気質』)にある。▲大風が吹く→土埃が人の目に入って失明者が増える→(失明者の生活の糧として)三味線が売れる→三味線の胴の両面に張る皮のためそこらの猫が捕獲されその数が減る→猫が減ると必然と鼠が増え暴れ出す→紙や衣類ばかりでなく箱の類を喰い齧るようになる→箱の需要が高まる→箱屋をすると儲かるだろうがそれも元手がなくては埒が明かない。

▼2021年5月上旬の時点での日本国内のファイザーのmRNAコロナワクチンの在庫は700万人弱の分量と報道されている。▼にもかかわらずワクチン接種は一向に進んでいない。2週間前の1日のワクチン接種は20万人台、1週間前が10万人台、そして5月17日の接種人数は246,520人、累計でも4,725,079人に過ぎない。原因は医師や看護師等の打ち手の確保が困難なのが最大の原因という。▼本当にそうであろうか、小児科や整形など一部の科目は、これもコロナ感染の拡大で来院者数が減少し、以前に比べ暇な病院も少なくないと聞く。▼今は国難である。非常事態宣言での飲食や人流を減らすことも重要だが、より効果的なのはやはりワクチン接種である。イギリスやイスラエル、イタリア、アメリカなどの国で実証されている。▼地域の医師会が協力し、昼夜を厭わず一人でも多くの日本人にワクチン接種を行うことはできないのであろうか。▼重傷者が千人を優に超え(5月18日午前10時の重症者数は1,227人)、日に百人以上のコロナ死(5月18日午前10時の前日比死亡者数は122人)が続く現実において、仮にアナフィラキシーショックが起こったとしてもその数はコロナ死の数に比べれば明らかに少数である。アナフィラキシーショックが発現したとしても、適切な処置によって死は避けられる場合がほとんどである。▼副作用を憂慮しすぎてワクチン接種を躊躇する。木を見て森を見ずである。副作用を恐れて医療の本分を見失うようでは情けない。▼ワクチン接種の遅延はコロナ患者数どころかその重傷者と死者を増やし、それは医療の逼迫と直結し、医療関係者の疲弊を招くものである。▼それにとどまらず経済活動の制限でGDPは減少し、ひいてはそれは税収減から医療保険料の負担増や医療保険点数の削減に及ぶものである。そしてその結末は「国民皆保険」の存続に影響し、その顛末は医師の懐事情にも大いにかかわってくる。▼「風が吹けば桶屋が儲かる」とは異なるが、「めぐりめぐって」最後には自分の身に禍が降ってくるのである。天に向けて唾するようなものだ。医師会をはじめ医療関係者の奮闘を期待する。5月18日。

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