今年も大淀川・宮崎市役所界隈での納涼花火大会が昨日(8月4日)あった。夜間病院(宮崎犬猫総合病院)・院長の宮川先生が後輩の結婚式のため大阪に行かれた。そのため私が8月4・5日の当番である。
犬は花火と雷が大嫌いである。得体の知れない大きな音を異常に怖がる習性がある。犬によっては恐怖からパニックに陥り、死に至る場合もある。年々悪化することも珍しくない。私の経験ではゴールデン・リトリバーが花火パニック症になり易い。この十年間の記憶では2例が頭に浮かぶ。1例はまだ若いゴールデンで、ケージの中でパニック状態にあるのを飼い主が放置していたところ、2・3時間後には息絶えていたケース。2例目もゴールデンで事務所から外に逃げようとして、戸を壊しかけた際にか、口腔内の損傷で舌全体と喉の奥まで腫れ上がり、食餌の摂取が不可能なため3日間点滴をした症例である。
昨晩も何か有るような予感がしていたが、案の定、これまたゴールデンが9時過ぎに来院した。散歩中に卒倒したという肝不全の雑種犬を診察中、浴衣をきた細身の美形の女性と正義感を漂わせる青年、その友達の女性の合わせて3人がいかにも緊急を要する形相で来院。県病院前の国道10号線でゴールデンが交通事故に会っているので、運んで診て欲しいとのこと。雑種犬の飼い主さんの御厚意に甘えて病院スタッフと現場に行って運んできてもらった。エコー検査、レントゲン撮影、点滴、血液検査を実施。右後肢飛節(頚骨と距骨)の骨折・脱臼が一番の重症で、その他口腔内と眼球結膜の出血・内出血がみられた。脱臼は整復・ギブス固定して3人づれに一時引き取っていただいた。
本日5日は朝から飼い主がみつかるか、気がかりであった。そして夜間病院が開いて1時間程した5時ごろ飼い主共々「メグ」が現れた。今朝、北警察署で引き取って来たとのこと。やはり花火を怖がっての逃走であった。飼い主さんに可愛がられているのが良くわかる、利口で性格の良いゴールデンであった。それなりに、栄養が行き届いている。ギブスが外れる2~3週間は「一夜の恐怖と孤独」に変わって、ダイエットとの闘いだ。4・5キロは痩せてもらわないと、関節に負担が掛かる。ダイエットの成功と全快を祈ろう。
病院を開業してからの13年間はその多忙からか?、花火は見ていない。と言うより、極冷え(雪冷え)の生ビールの方に気が誘われてと言った方が正解であろう・・・自然と西橘・東橘に足が向く。
今年は病院の2階からでも花火が見物できる・・・と思っていたが、診察の合間病院の外に出て音のする南の方角を見ると、アナ嬉しき哉、花火が目前に見れるじゃないか!。それでも急患を診察中の我が身、イト悲しき哉、数秒しか見れなかった。来年は病院の2階を暗くして、ビールを片手に、優雅な花火見物といきたいものだ。
「メグ」は1週間後に再診だ。今日は写真を撮り忘れたので次回に撮って、ここに載せますので、乞う御期待下さい。今回のような好意・厚意・行為が溢れる巷(宮崎)であって欲しいものだ。美しい宮崎人(先日亡くなった、両親が川南町出身の作詞家・阿久悠の言)の方々に感動した一夜であった。
花火と雷を怖がる犬には飼い主がそばに居てあげましょう。車で遠くに避難することも勧めます。動物病院で鎮静剤を処方して貰うのもいいでしょう。