●歳を重ねるということは喜怒哀楽の情念センサーの感度が鈍るということだろう。柄にもなく日経新聞を購読しているが、新聞の情報で株をあっちこっちさせるほどの「通」でもないし、なによりも小心者(トレーダーではない)であるが故、これもチラ見に過ぎない。そんな具合だが、贔屓は「私の履歴書」。そうは言っても門外漢の甚だしいものは、これはチラ見。今の連載は、歌舞伎役者の中村吉右衛門さんだ。吉右衛門さんなら、池波正太郎がぞっこんの長谷川平蔵親分役だから、読むのにチラ見はない。譚も破天荒でさすがは親分だ。「情念」と書いたが、念のため辞書を引くと、「深く心に刻みこまれ、理性では抑えることのできない悲・喜・愛・憎・欲などの強い感情」。歳を取るとは性格が丸くなるのではなく、大脳皮質の委縮による相対的な大脳辺縁系の優位に基づく情念の異常興奮ということか。7月15日。