コンテンツへスキップ

今週のつぶやき親仁・2018年12月16日(日)~12月22日(土)

●司馬さんの「二十一世紀に生きる君たちへ」には『人間の荘厳さ』というあとがきがあります。書き終えた司馬さんは、「長編小説を書くほどのエネルギーがいりました」と編集者に語ったとされる。推敲に推敲を重ね、命を削る戦いであったのだろう。

人間の荘厳さ
人間は、鎖の一環ですね。はるかな過去から未来にのびてゆく鎖の。人間のすばらしさは、自分のことを、たかが一環かとは悲観的におもわないことです。ふしぎなものですね。たとえば、小さい人たちは、いきいきと伸びてゆこうとしています。少年少女が、いまの一瞬を経験するとき、過去や現在のたれとも無関係な、真新(まっさら)の、自分だけの心の充実だとおもっているのです。荘厳なものですね。
 『21世紀に生きる君たちへ』は、そういう荘厳さを感じつつ、書いたのです。つぎの鎖へ、ひとりずつへの手紙として。こればかりは時世時節を超越して不変のものだということを書きました。日本だけでなく、アフリカのムラや、ニューヨークの街にいるこどもにも通じるか、おそらく通じる、と何度も自分に念を押しつつ書きました。

12月17日。

先頭へ