●五味川順平の「人間の条件」を読み進めると日本人の悍ましいをはるかに超えた惨忍さにショックを隠しえない。集団強姦、略奪、奴隷化(徴用工も含まれるであろう)、そして集団殺戮。強姦も夫や彼氏の眼の前の暴行である。子供も例外ではない。それを終えると銃剣で刺したり銃殺したりと、それはそれはこの世の同じ地球上にすむ人間のなせうることとは思えないのである。同じようなことが逆の立場だったらどうであろうか、想像に難くない。自分の愛する家族が目の前で多民族の侵略者に侵される。それを目の前でやられる。どうだろう・・・・・・100年やそこらの短い時間でその悔恨は消え去るものであろうか。つづく。12月29日。
●私は、年に何度か父親に本を送ることにしています。私が読んで面白かった小説か、希望を聞いて決めます。今回の所望は、五味川順平の「人間の条件」です。正直、そんな重厚なものをと、少し呆気にとられました。近所の書店にはある筈もないので、早速ながら蔦屋に出向き探すと、それは1巻600ページのかつ3巻ものでした。しかも上中下のうち2巻しか在庫がないのでした。しかたないのであとはアマゾンにて注文をし、ついでながら私の分も頼みました。「親父ギャグ」の司馬遼太郎が「ノモンハン」を書かなかった、書けなかった理由の一つが五味川順平の「ノモンハン」という説です。既に立派な「ノモンハン」が五味川氏によって書かれていたということです。つづく。12月29日。