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2月11日(水)-やっぱりあった「イワシ酸」-

 小生の大の所望である「鰯」の油について調べてみると、やっぱりあった「イワシ酸」。一般名は英語でClupanodonic acidと言うらしいが、手許の医学辞書によると「鰮酸CH3CH2CH:CH(CH)2CH:CHCH2[CH:CH(CH2)2]3COOH(鱈、鰮等の魚油から得られる不飽和酸で、グリセリッドとして存在する)」とある。
 イワシ酸は、かの有名な「エイコサペンタエン酸=EPA」の仲間である。EPAはαリノレン酸やこれまた有名な「ドコサヘキサエン酸=DHA」の仲間で「ω(オメガ)-3脂肪酸」に属する。ω-3脂肪酸は、リノール酸、γ(ガンマ)リノレン酸、ジホモγリノレン酸、それにアラキドン酸の「ω-6脂肪酸」と共に「必須脂肪酸」として分類されている。必須脂肪酸は、分子内の炭素鎖に二重結合や三重結合を含む「不飽和脂肪酸」に属し、一重結合のみの酪酸やラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸などの「飽和脂肪酸」と合わせて、「脂肪酸」という。今流行の「逆(方向)分類」をしてみたので、悪しからず。
 EPAやDHAなどの必須脂肪酸は、体内では合成不可能であるから、その名がある。しかし、アラキドン酸はリノール酸から、EPAとDHAはリノレン酸から体内で作ることができる。これらの不飽和脂肪酸は魚油や植物油に多く含まれ、逆に動物性油に多いのが飽和脂肪酸である。飽和脂肪酸も血管壁などの構成成分として重要であるが、摂取過多は生体に有害となる。これとは対照的に不飽和脂肪酸、特にEPAとDHAのω-3脂肪酸は、脳卒中や心筋梗塞、高血圧、動脈硬化などの予防、血栓溶解および血管拡張作用、記憶力の向上や認知症の予防、発ガン抑制作用、アトピー性皮膚炎や喘息などのアレルギー疾患の改善など、人体への好影響が叫ばれいるのが現状である。
 ついでに脂肪酸で「絶対悪」視されるのが「トランス脂肪酸」と言われるものだ。不飽和脂肪酸を多く含有する植物油脂に水素を添加して食品化したものがそれで、「マーガリン」や「ショートニング(味付けの無いマーガリン)」などは、本来の不飽和脂肪酸が構造変化し「トランス型」となったものである。トランス脂肪酸は血液中の悪玉コレステロールを上昇させ、善玉コレステロールを低下させるため、動脈硬化による心筋梗塞や脳梗塞の原因となる。盆と正月ではないが、年に2回は御相伴に与(あずか)りたい○○バーガーやフライドポテト、フライドチキンに使われる調理油(揚げ油)について、国内の会社や業者はトランス型を排除したのか、心配である。
 1日に必要なEPAやDHAの摂取量は、鰯2匹である。小生にとっては楽勝であるが、毎日鰯を求めにスーパーに通う人に感謝しなくてはなるまい。生活習慣病予防に対する「鰯(鰮)の効能」を勝手に「イワシ」てもらった。

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