週に1~2回はラーメンを啜らないと体調が悪い。機嫌の悪いのもラーメン屋に出向いていないからか、と思うほどだ。手術の合間や術後のインスタントラーメンもそれなりに美味い。
インスタントラーメンと言えば、小生が小学校に入るかどうかの頃、近所のばあちゃんが生卵を落としたチキンラーメンを食べさせてくれた。蓋付きの丼茶碗にチキンラーメンを入れ、そこに生卵を落として、その上から薬缶(やかん)の熱湯を細い湯の線で円を描きながら静かに注ぎ、蓋をして3分間待つ。そうすれば、チキンスープと半熟卵が絶妙にからむ、至福の昭和の味になる。我が家でチキンラーメンを食えたのが、それから数年後であったから、当時は馳走であった。未だにチキンラーメンをいただくが、いつもあのばーちゃんの顔が浮かぶ。
札幌ラーメンは縮れ麺。博多ラーメンは白い豚骨スープに細麺と紅しょうがや辛子高菜。熊本ラーメンは焦がしニンニクと半熟茹で玉子。・・・・・地方によっていろいろである。みやざきラーメンの特徴は何であろう、沢庵?小生もこの歳になるとコッテリよりはアッサリのほうが体の受け付けもよい。買い置きのインスタントラーメンも札幌一番味噌ラーメンと出前一丁、それにカップヌードルが定番である。そこで宮崎にあって、宮崎らしくないラーメン屋を2軒紹介してみよう。
一軒目は清武町今泉にある「ラーメンGATUN!!」。「スープは、宮崎産豚骨と鶏ガラをブレンドし、ふんだんに使用。強火で炊き上げたコクのあるスープに「チーユ」という鶏油を加えさらに旨みとコクを深める。自家製の太麺と絡めれば、ガツンとパンチの利いた一杯に。トロ玉子やもやし、コーン、焼き海苔のトッピングも100円でチョイス出来るのでお試しを。ニンニクを7段階の深さに分け、時間を掛けて揚げたマー油を使った「香油ラーメン」も人気。」(「宮崎ラーメン、Vol.2、130杯」月刊情報タウンみやざき臨時増刊号、P72)。
「ラーメンGATUN!!」は「もりもり軒」の跡の店舗にある。元もりもり軒の大将は、現在、小生も夜な夜な出向く宮崎ラーメンの本流で名店・「栄養軒」を仕切るが、GATUNとは無関係。GATUNの大将は「風来軒」の流れを汲むが、現在のスタンスはかなり異なる。県外でも武者修行を重ね、いまがある。本家横浜吉村家発「家系ラーメン」を宮崎で食す!と銘打つ。焦がし味噌ラーメンもいける。イケメンの兄弟で、もちろん兄貴が大将である。。
2軒目は宮崎市松山にある「朝井札幌ラーメン」。「豚のゲンコツと鶏ガラをベースに、昆布や野菜などを加えて煮込んで作るスープ。独自のブレンドで作る醤油ダレを合わせて関東風に仕上げた「しょうゆラーメン」。濃い目の「みそ」、あっさり目の「しお」の間をとった濃さで、隠れ人気メニューとして常連からの注文が多い。バターを入れるとまろやかさが加わり、違ったおいしさを味わえる。42年間守り続けている人気の味をぜひ。」(同、P7)。
夜8時から翌3時までの営業。夜中小腹が空いた時や、ニシタチで飲んだ帰路立ち寄れる。タクシーを2回乗ることになるがそれまでする価値あり。暖簾が札幌だけあって「豚骨ラーメン」で無く、「しお」・「しょうゆ」・「みそ」は頼もしい。寡黙で「頑固一徹」気味の大将の風貌や立ち振る舞いも魅かれる。
小生贔屓の2軒のラーメンについて語った。ラーメン屋の大将はまず第1に頑固でないといけない。そうでないと、毎日ブレのないスープを拵えることが、まずをもって不可能である。麺を茹でながら客と世間話をするような店は高が知れてる。タイマーを使うのも頭を傾げたくなる。店構えは古くても綺麗に掃除が行き届いて、清潔でないといけない。振りざる(もしくはそばあげ=平ざる)を釜から挙げた後の湯切り(専門用語では水切り)をはじめ、味見などの一つ一つの所作も味のうちであり、ショー(パフォーマンス)の精神に徹する必要がある。こう考えるると、どの職種も同じであるが。スープにはもちろん豚骨を使うが、いわゆる「豚骨ラーメン」を標榜しないラーメン屋が宮崎にもある。宮崎ラーメンがどうもね~という方、一度、御賞味あれ!。
「ラーメンGATUN!!」は月曜が定休日だが、不定ため、電話(84-2390)をすると無難。最近は夜10時まで営業。餃子もはじめた。
「朝井札幌ラーメン」(電話なし)は7時半の開店であるが、準備中の時あり。8時以後が無難。日曜が定休日。大淀大橋北側の袂(たもと)にある。駐車場は大将に聞けば教えてくれる。
<附>
[宮崎ラーメン]同じ豚骨を用いている博多ラーメンと異なり、やわらかめの太麺が使われる。スープは比較的あっさり系。好みによってニンニク醤油をいれてコクをだす場合もある。
[札幌ラーメン]ご当地ラーメンの元祖ともいえる。太めでコシの強い麺に豚骨ベースの濃い味噌スープ。脂分が多く、こってりしている。
[旭川ラーメン]北海道特産の魚介類でとった醤油スープをベースとしている。麺は、加水率の低い細めの縮れ麺でスープとよくなじむ。
[尾道ラーメン]瀬戸内海の小魚でダシをとった透明な醤油スープをベースとしている。そこに背脂のミンチを加え、コクを出したところが特徴的なラーメン。麺は中細ストレート麺が用いられることが多い。
[家系]25年程前に「吉村家」(当時、横浜新杉田)が出したラーメンが元祖とされる。こってりとした豚骨醤油にコシのある太麺、チャーシュー、ホーレン草、海苔3枚の3種の具が定番となっており、評判を呼んだ。現在では、全国に普及している。この種のラーメンを取り扱う多くの店の名に六角家、本牧家など「家」という屋号がつくところから「家系」と呼ばれる。
[久留米ラーメン]九州ラーメンのルーツとも呼ばれる。博多、福岡の南に位置し、博多ラーメンより、スープは濃厚で麺はやや太い。
[熊本ラーメン]スープは鶏ガラと豚骨のミックス。大蒜を大量に使うのが特徴でマー油を使い、ニンニクチップをのせることでコクを出している。麺は中太で硬いものが標準とされている。
[喜多方ラーメン]太い平打ちの縮れ麺を使い、スープは豚骨と煮干のスープを別々に作り、ブレンドしたものを用いる。もちもちとした食感が官能的とされている。
[鹿児島ラーメン]透明、もしくは半濁のさっぱりした豚骨スープを使用する。多くの場合、野菜を多用しているため、柔らかい風味のスープが使われる。麺はカン水を使わないか、使ってもごく少ない白く柔らかいものが好まれる。鹿児島名産の黒豚からとったトンコツを使う店もある。
<京都ラーメン>京風と聞くと和風であっさりしたものを想像しがちであり、そういったラーメンも存在する。しかし、本当の京都ラーメンは鶏、豚骨でとったスープを醤油で味付けし、背脂でコクを出すという濃厚なものが中心となっている。野菜と煮込んだ濃厚スープも存在する。麺はごく普通のストレート麺が使われることが多い。
<がんこ系>創作者である一条安雪氏が牛骨でスープをとった塩ラーメンが元祖とされる。お店の前にぶら下がった牛骨目印。最近は牛骨を使わないスープでも有名。
<飛騨高山ラーメン>細めの縮れ麺に、鶏ガラやカツオ節で取ったダシと濃いめの醤油スープが特徴。
<広島ラーメン>豚骨をベースとした濃厚な豚骨醤油味。麺は細めのストレート。いりこダシ(煮干)を加えてさらにコクを出しているのが特徴。
<佐野ラーメン>青竹で打った多加水麺は、もってりとした食感を特徴とする。脂分はほとんどなく、澄んだあっさりした醤油スープを基本としている。
<荻窪ラーメン>「東京ラーメン」とも呼ばれ、あっさりした醤油スープに細めの麺が特徴。
<ソーキそば>ソーキを盛りつけた沖縄そばのこと。沖縄そばそのものと勘違いされがちだが、形態のひとつにすぎない。
<函館ラーメン>澄んだスープでさっぱりした塩ラーメン。麺はストレートで少々やわらかい。中華の技法を色濃く残したラーメンといえる。
<博多ラーメン>博多は長浜の屋台街が発祥とされる、根強い人気を誇るラーメン。細めのストレート麺に濃厚で乳白色の豚骨スープが特徴。細麺のため、のびやすく大盛りがない。その代わりに替え玉がある。ざるから替え玉を投げ入れるパフォーマンスは有名。
<東京ラーメン>澄んだ醤油味スープを使ったものを指す。店によって食材はいろいろだが豚骨や鶏ガラをベースに鰹や鯖節、昆布、煮干しなど和風だしを効かせたちぢれ麺が特徴。あっさりした味が変わらぬ人気。支那そばとも呼ばれる。
<インスタントラーメンの日>8月25日はインスタントラーメンの日と制定されている。世界初のインスタントラーメンである「チキンラーメン」が1958年のこの日に発売されたことによる。1982年に、日本即席食品工業協会が、この日を記念日として制定した。
(以上、「ぐるなびラーメン用語辞典」より抜粋)