●苦言を一言。最近の、と言うよりは随分と以前からだが、ボクシング中継放送の実況アナウンサーとその解説者の喋りには閉口する。日本人贔屓が超やり過ぎ。ボクシング放送を観る人間はミーハーな奴等だけではないことを知るべきである。試合全体の流れ、作戦変更、パンチの切れやコンビネーション、防御のテクニックなど、回毎に変わる状況を一瞬とも逃さず、解説する立場にある。「受け」ばかりを考えていて、ボクシングばかりか、一発のパンチさえも、彼らには見えていない。旅先の東京にて。(3月27日)
●ポンサクレック・ウォンジョンカムV.S.亀田興毅。WBCフライ級暫定王者のポンサクレックが正規王者の亀田を判定で下した。2:0の判定なのでレフリーの一人は114:114のイーブンであったが、他の2者は3点と4点差であった。誰が観てもポンサクレックの優位であり、実質は3:0の完敗である。実況では、亀田が前日計量後に6キロ以上も体重を増やしたらしい。これが思うように体が動かなかった原因であろう。WOWOWのエキサイトマッチのジョー・小泉氏なら「このフライ級にしてはリバウンドのし過ぎ」と解説するに違いない。試合前亀田は「フライ級最強を証明する試合」、「試合になったらどつきままわしたる」と豪語していたが、試合では反対に小突かれ(ジャブ)、ど突かれ(アッパー)、頭突きされ(バッティング)と、防戦一方であった。旅先の東京にて。(3月27日)
●冷酒の冷え具合を表す言葉がある。0度が霙(みぞれ)酒、5度が雪冷え、10度が花冷え、15度が涼冷え、という。桜が咲いた今時は、もちろん「花冷え」である。先人の言葉遊びと粋な様を感じる。それにしても、春はあと数日の我慢? 春の意は、①草木の芽が「張る」意、また②田畑を「墾(は)る」意、③気候の「晴る」意、から(広辞苑)。(3月24日)
●周りで、例年通り、田植えが始まった。今日は終日、雨。午前10時からのラジオ収録はDr.棚多に一任。昨夜はDr.藤野の御両親と一献。「一献」とは、①一杯の酒、②ひとたび盃をさすこと。転じて、酒のふるまい。小宴会。太平記(5)「ある夜一献の有りけるに」、③室町時代以後の礼法で、客に、肴に盃を添えて出し、酒を3杯すすめること、と広辞苑にある。「小宴会」は当っているが、1杯や3杯の焼酎では済まされなかった。今朝は完璧の二日酔いである。こういう日は、終日寝床で「高校野球観戦」が健康に良い。しかし、生憎の雨で中止。久しぶりの未明の帰宅。初対面とは思えない愉快な四半日であった。「一献」どころか文字通り、「昵懇」(じっこん)(十献)だ。(3月24日)
●1日遅れだが「彼岸」について考えた。彼岸とは「煩悩を脱した悟りの境地」のことで、反対語は「此岸(しがん)」。此岸は「煩悩や迷いに満ちたこの世」のことだ。「彼岸会(ひがんえ)」は、春分・秋分を中日とし、前後各3日を合わせた7日間のこと。また、この期間に行われる仏事のこと。暦の上では初日を「彼岸の入り」、最後の日を「彼岸明け」という。俗に、中日に先祖に感謝し、残る6日は、悟りの境地に達するのに必要な6つの徳目、六波羅蜜を1日に1つずつ修めるためのもの、で「彼岸会法要」は日本オリジナル、らしい。(Wikipediaより)(3月22日)
●六波羅蜜とは、1.布施波羅蜜(布施=与えること)、2.持戒波羅蜜(持戒=戒律を保持すること)、3.忍辱波羅蜜(忍辱=耐え忍ぶこと)、4.精進波羅蜜(精進=努力すること)、5.禅定波羅蜜(禅定=特定の対象に心を集中して、散乱する心を安定させること)、6.智慧波羅蜜(智慧=物事をありのままに観察する「観」によって、思考に依らない、本源的な智慧を発現させること)の6つだ(同上)。ともあれ、御先祖様に合掌。彼岸の中(うち)に六波羅蜜を修めれば、悲願(彼岸)達成となれば有難いが。浅草観音の浅草寺の7月10日・四万六千日ではないが、昔の人は上手いことを考えたものだ。(3月22日)
●小中学生の頃、よく親に「山菜取り」を手伝わされた。筍や薇(ぜんまい)、蕨は茹でて灰汁を抜き、天日で乾燥して保存し、冠婚葬祭の煮しめや盆正月の料理に使う。今でもだが、貴重な食材である。家の周囲が360度、見渡す限り山ばかりとは言え、1年分確保するのは決して容易で無い。筍は10日で喰えなくなるくらい成長するからか、喰い物の旬は10日だ。旬を喰らうには、アンテナを張り巡らして、情報を見逃さず、旬時(瞬時)の行動を取らねばならぬ。これから連休までが、筍・蕨・薇・三昧ならぬ「山菜三昧」(薇と三昧を掛けてみた)の1ヶ月余である。おまけで、これらに「いたどり=虎杖」(田舎では「サド」と言う)と田芹が加われば「いたどり(至れり)尽くせり(芹)」の持て成しとなる。(3月21日)
●「筍」の灰汁抜きは米ぬかと唐辛子(鷹の爪)で茹でる。えぐみの成分であるシュウ酸を除く。米ぬかにはその甘みと旨みで苦みを覆い隠す作用もある。鷹の爪は防腐作用を期待して入れる。「蕨」は単に水に浸すか、炭酸(重曹=炭酸水素ナトリウム)や木灰を溶かした水(灰汁)に晒す。これで有機酸成分がアルカリと結合して灰汁が抜ける。「灰汁抜き法」は、家伝によるところが大きいようだ。それが良い。「灰汁抜き」は、「飽く(灰汁)なき」戦いである。(3月21日)
●灰汁(あく)を分かり易く言うと、味覚に対して不快な成分で、かつ食べ物として不釣合いな色や匂い。「悪」なのである。しかし、悪を好むものが悪ばかりとは限らないのが、人生の面白いところだ。植物の灰を水に溶かして上澄みを掬った液も「灰汁」(炭酸カリウムが主成分でアルカリ性)というが、洗剤や漂白剤、または食品の灰汁抜きに使われる。「あくまき」(粽=ちまき)などの料理にも利用されるから、善悪に同じだ。(3月21日)
●春と言えば「山菜」だ。今日も愚妻が「綾のほんもの館」へ朝早くから出向いた。収穫は、お目当の「筍」と「蕨」である。早速、「灰汁抜き」に勤しんでいるが、灰汁とはそもそも何ぞや。苦みやえぐみ、渋み、不快な臭いなどの元となる成分で硝酸・シュウ酸・ホモゲンチジン酸などの有機酸・アルカロイド物質・タンニンなどのポリフェノール類・肉の血や浸出液に含まれるたんぱく質・遊離アミノ酸などが挙げられる。(3月21日)
●もうひと月もすれば「麦酒の季節」。京都大学の矢崎教授(植物分子遺伝学)がキリンとの共同研究で、ビールの香りの素である「リナロール」の遺伝子を突き止めた。リナロールはホップの「ルプリン」組織中に含まれ、その改良に各社が凌ぎを削っている。小生は「咽喉越しの泡」、上品に言えば泡のきめ細かさと、ゴックン後の口腔内に残る「仄かな香り」の2つを好む。これが、ビールの真骨頂であることを信じて疑わない。香りは2~3秒も残れば十分で、強いと次のゴックンを躊躇する。病気もビールの芳香も全てが遺伝子。犬猫の病気の遺伝子解析も急がねば!!!(3月21日)
●春の嵐(低気圧)の乗って大陸から降って舞うYellow dust、黄砂である。代表的な発生地はタクラマカン砂漠(中国西部)、ゴビ砂漠(中国北部・モンゴル南部)、黄土高原(中国中央部)が三大であるが、他にも多数ある。日本へはジェット気流やそれよりも低い気流で運ばれる。日本へは発生後3~4日経過して落下する。5,000~6,000キロ以上の距離を舞うことになる。その粒子の大きさは4μm前後であるから、動物の細胞の大きさとほぼ同じである。黄砂の発生量は年間2~3億トンで、日本への降下量は1年間で1平方キロメートル当たり1~5トンである。2~5月の4ヶ月間で年間の約90%が集中する。黄砂の成分は石英・長石・雲母・緑泥石・カオリナイト・炭酸Ca・硫酸Ca・硫酸アンモニウムなどである。農業などへの経済的影響も大きい。咳・痰・ただれ・鼻水・痒み・アレルギーなどの健康被害も少なくない。記録としては紀元前1150年に中国で「塵雨」としてある。(3月21日)
●昨夜は春の嵐。ニシタチではない近場の居酒屋で一杯引っ掛けて早々に帰宅。10時には就寝したが、「春眠暁を覚えず」と言えど、あまりにも早寝が過ぎた。夜中ケーブルのチャンネルを回すと、偶然にも「巨人の星」を放送していた。星飛雄馬の星雲高校と紅洋高校の花形満の「甲子園」・決勝戦。左手親指の爪からの出血で赤く染まるボールを花形満がサヨナラ・ホームラン。今日は第82回選抜高校野球の開幕日。これからの12日は青春に戻れる時間。(3月21日)
●選抜高校野球大会歌の「今ありて」。作詞・阿久悠、作曲・谷村新司で1993(平成5)年より歌われる。1番の歌詞。(3月21日)
新しき季節(とき)のはじめに
新しい人が集いて
頬そめる胸のたかぶり
声高な夢の語らい
ああ 甲子園 草の芽 萌え立ち
駆け巡る風は
青春の息吹か
今ありて 未来も扉を開く
今ありて 時代も連なり始める