●又吉直樹氏の第153回芥川賞受賞作の「火花」の近々の単行本発行部数が239万部という。いずれそのうち文藝春秋に掲載されることを知っているのであわてて読むこともなかろうと踏んでいたのですが・・・。先週の上京往路の機内と翌日のホテルの朝とで読み終えた。登場人物はおおむね5人くらいで、主人公こと「スパークスの徳永」とその相方、師匠の「あほんだらの神谷」と神谷の彼女がふたりといったところ。芸人が売れるようになるため常にギャグネタ漬になっているのは「ギャグ親仁」としては程良い参考になったね。借金の自己破産で雲隠れし取り立て屋に脅されながらも芸人大成を諦めない師匠の神谷。最後は神谷が自分の胸にぎょうさんのシリコンを入れて徳永の前に現れた。もちろん受け狙いのこと。幾ら俄かの師弟関係にしても芸人魂とメジャーを勝ち抜くことの苦悩と辛酸が良く表現されていた。が、最後のシリコン詰には?????ですね。〆に他のストーリーがなかったものか。勝手にまとめさせてもらうにギャグを磨くには常に頭の鍛練と精進、そして酒が欠かせないということですね。※「火花」効果で『文藝春秋』9月特別号(7日発売)が13万部増刷され、累計発行部数は同誌歴代2位の105万3000部となったという。今、近くの書店でも「次の入荷はわかりません」の知らせ。8月22日。
●訂正。8月20日の毎日新聞の宮崎版で「11日『八紘一宇』に関する記事で、『日本書記』とあるのは『日本書紀』の誤りでした。」。そこでですね、漱石先生の随筆に似たような面白いのがあるんですね。「紀元節」という作品ですね。
「南向きの部屋であった。明(あ)かるい方を背中にした三十人ばかりの小供が黒い頭を揃(そろ)えて、塗板(ぬりばん)を眺めていると、廊下から先生が這入(はい)って来た。先生は背の低い、眼の大きい、瘠(や)せた男で、顎(あご)から頬(ほお)へ掛けて、髯(ひげ)が爺汚(じじむさ)く生(は)えかかっていた。そうしてそのざらざらした顎の触(さわ)る着物の襟(えり)が薄黒く垢附(あかづ)いて見えた。この着物と、この髯の不精(ぶしょう)に延びるのと、それから、かつて小言(こごと)を云った事がないのとで、先生はみなから馬鹿にされていた。
先生はやがて、白墨を取って、黒板に記元節と大きく書いた。小供はみんな黒い頭を机の上に押しつけるようにして、作文を書き出した。先生は低い背を伸ばして、一同を見廻していたが、やがて廊下伝いに部屋を出て行った。
すると、後(うしろ)から三番目の机の中ほどにいた小供が、席を立って先生の洋卓(テーブル)の傍(そば)へ来て、先生の使った白墨を取って、塗板(ぬりばん)に書いてある記元節の記の字へ棒を引いて、その傍(わき)へ新しく紀と肉太(にくぶと)に書いた。ほかの小供は笑いもせずに驚いて見ていた。さきの小供が席へ帰ってしばらく立つと、先生も部屋へ帰って来た。そうして塗板に気がついた。
『誰か記を紀と直したようだが、記と書いても好いんですよ』と云ってまた一同を見廻した。一同は黙っていた。
記を紀と直したものは自分である。明治四十二年の今日(こんにち)でも、それを思い出すと下等な心持がしてならない。そうして、あれが爺むさい福田先生でなくって、みんなの怖(こわ)がっていた校長先生であればよかったと思わない事はない。」(夏目漱石「永日小品」)。
夏目漱石の先生を小馬鹿にした悪ガキ的積極性の知られざる一面でしょうか。誤字には気をつけましょう。しかしですね、大新聞がですね、11日の記事(「紀」ではありませんよ)の訂正に9日もかかるとは遅くありませんかね。地方の支所(支社)の記者が書いた原稿は大阪か東京の本社、もしかしたら福岡かもしれませんが、二重三重のチェックが入る筈なので、それに「記紀」の重要単語ですからね、どうにも御粗末ですね。漱石先生が生まれたのが1867年ですから、小学生のころのことでしょうか、それにしても「紀元節」のテーマで作文を書かせるなんて時代を感じますね。天皇を現人神に祀り上げた大久保利通(明治11年に紀尾井坂で暗殺)が存命中かどうか。大久保の意を継いだ山県有朋や伊藤博文らの活躍が始動するころでしょうか。このころから戦争の気運が高まって日清、日露戦争へと突き進むんですね。8月21日。
●甲子園全体の雰囲気を味わうなら無料の外野席でも十分。地元応援団の熱狂を感じるにはアルプス席。が、選手のプレーを満喫するのはそりゃやっぱりバックネット裏だ。チケットには当日券、前売り単日券、ボックス席指定券、ペア席指定券、アルプスデッキ席指定券、車いす券がある。当日券以外は前売りで試合前日の午後6時までチケットぴあやセブンイレブンなどで発売される。この前売りに関連して問題となっているのが前売りのみの「通し券」である。大会期間中の全試合を観戦できる。金額は1日分割安で、1塁側・3塁側特別自由席が19500円(当日券は一般1500円)、通称バックネット裏の中央特別自由席が26000円(同2000円)である。2015年8月12日に「事件」が発生したようだ。高校野球の甲子園にはかなり前から「8号門クラブ」という私設のファンクラブがあるんだね。「監督」「ラガ―さん」を代表格に数十人がこの通し券を使ってバックネット裏を占拠するんだね。彼らは試合が終わるとすぐに翌日のため8号門前に屯して陣取るんですね。仮に当日券を最前列で買えたとしても彼らは既に並んでますから到底、バックネット裏の特等席に坐れることは不可能なんですね。だからテレビの画面には彼ら集団の顔が写るんですね。それで12日の事件ですが、「偽ラガーさん」という人が本物の「ラガーさん」より先に「ラガ―さん指定席」を獲ったらしいんですが、「不法占拠」けしからんということで「8号門クラブ」に恫喝やらか嫌がらせかなにかを受けたらしいんですね。親仁もまだ「8号門クラブ」の存在を知らなかったころ、空いている席に座ろうとすると「あんた何者ぞ」という目つきで睨まれるんですね。一度はビールを飲んで隣の人と盛り上っていたら「ここは神聖な場所なんだから呑むな」と咎められたんですね。(こっちは半分観光できてるんだから構わんだろうと無視して呑みましたがね)。それにもうひとつ、彼らはどこで知り合ったか知らないが、当日券で入っている他人(多くは若い女性)に席を融通している気配があるんですね。原則指定席はないのですから、先に入った人が好みの席にタオルでも置いていたらもうそれで場所獲りは完了なんですね。親仁は「8号門クラブ」の横暴が頭に来て数年前、「週刊朝日」と「週刊新潮」に深層(真相)を取材して欲しいと電話した経緯がありますが、今度ようやくネットで問題が拡散しそうで、聖地の甲子園が純化されることを願うひとりですね。バックネット裏に坐って1試合でも観戦したら、彼らがどんな集団であるか理解できるでしょう。つづく。8月19日。
●19日の甲子園準決勝は仙台育英(宮城)vs早稲田実(西東京)と東海大相模(神奈川)vs関東一(東東京)。もしやして東京同士の決勝か・・・と思って調べてみた。東京の優勝は①慶應普通部(2回大会・1916年・vs市岡中=大阪)、②桜美林(=西東京・58回大会・1976年・vsPL学園=大阪)、③帝京(=東東京・71回大会・1989・vs仙台育英=宮城)、④帝京(=東東京・77回大会・1995年・vs星稜=石川)、⑤日大三(=西東京・83回大会・2001年・vs近江=滋賀)、⑥早稲田実(=西東京・88回大会・2006年・vs拓大苫小牧=南北海道)、⑦日大三(=西東京・93回大会・2011年・vs光星学院=青森)の7回。春の選抜はどうだろうか。①日大三(=東京・43回大会・1971年・vs大鉄=大阪)、③岩倉(=東京・56回大会・1984年・vsPL学園=大阪)、④帝京(=東京・64回大会・1992年・vs東海大相模=神奈川)の4回ですが・・・②1972年の44回大会で日大桜丘が同じ東京の日大三を5対0で降して東京都対決を制しているんですね。今夏の97回大会で早稲田実と関東一が決勝で戦えば、春夏で違いはありますが(春夏では出場規定が異なる)、実に1972年から数えて43年ぶりの東京都対決ということになる。※オコエ・清宮フィーバーで例年にない甲子園の大盛況。数えてないから分からないが少なくとも10回は甲子園に通っている親仁をして今夏は躊躇して行ってない。朝5時前に起きて5時半に球場に並びチケットを買うなんて、それはもう年寄の冷水というものです。本当は明日でも行きたいのですが、休みと甲子園の日程(好カード)などがこちらの都合と合わないだけなんですが・・・宮崎日大は初戦敗退だったし・・・ね。つづく。8月18日。
●東京のタクシー運転手の話。真偽の程は定かでないが、若い人たちの海外旅行が増えているらしい。というのは、会社が従業員の他社への逃亡を避けるための囲い込み策という。14日の日経新聞では「トヨタ自動車は7月限定で導入した10万円の特別手当を延長する。マツダは内定・入社の祝い金を5万円増やし20万円にした。・・・・・・」、これは期間従業員への対応だが・・・トヨタがそうか知らないが、景気のいい企業の正規従業員には海外旅行もあり得ると云うことか。エンブレムでケチがついた東京オリンピック。1964年の「日の丸弁当」で良かったんだよ。釣り上がるすべての競技場の建設費用。蝶よ花よと育てた地方の若者達がひとり勝ちの東京へ今まで以上に流れる構図。地方再生なんて絵に描いた牡丹餅。2020年のオリンピック後の文字通り「後の祭り」の辛酸を嘗める光景が浮かぶ。果たしてオリンピック招致は正解だったかどうか。オリンピック後の東京が狙い目かもしれないが・・・。東京だけのバブルは地方から労働力(若者)を奪い、地方力を失活させている。オリンピックの正体は税金を湯水のように使う大企業と政治家(屋)と一部の行政屋のためのマネーゲームだな。※宮崎の近近の有効求人倍率はほぼ1倍。自動車工場の集積地は広島県が1.51倍、愛知県が1.50倍と極めて高い(2015年6月の数値・8月14日日経)。地方の求人倍率が上昇しているのは別に景気が良くなってのことでなく、中央へ人が流出しているためである。8月18日。
●ときは明治10年1月29日の深夜12時。鹿児島北郊の草牟田にある私学校分校の生徒が大久保利通率いる明治政府の管轄所有である陸軍火薬庫(火薬局)を襲い、小銃弾6万発を奪った。西郷はじめ桐野利秋や篠原国許ら幹部の知らぬところでだ。その頃西郷は大隅半島の小根占の平瀬十助宅にいた。無論、猟のためである。西郷はこの大事件に反応すべく2月2日、鹿児島に戻るため山を下り海岸の高須に出たが、あいにくの荒波で、船嫌いの西郷は馬で陸路北上し、垂水を経て3日昼過ぎに加治木に着き、同日夜御厩跡(おうまやあと)の私学校本局に入った。(司馬遼太郎「翔ぶが如く七」・「東京獅子」「西郷の下山」「鹿児島異人館」pp162~294参照)。譚が長くなったが、西南戦争(西南の役)の時、桜島は大隅半島と陸続きでなかったということ。薩摩半島の鹿児島市からは錦江湾を泳いで渡れる距離。西郷さんの泳ぎが上手かったかどうか知らないが、巨体は浮きやすいから大丈夫だったかも(大寒直後の真冬だから死ぬか)。その前に志士で歌僧の「月照」(1813~1858)との入水事件の記憶が甦ってか・・・陸路を選択したのだろうか。そしてついに西郷の挙兵決断は2月5日かという。桜島大爆発注視。8月16日。
●先週のスポットは電力だったのだが・・・。8月14日の日経新聞。「セブン―イレブン・ジャパンは10月、関西の約1000店の電力調達先を東京電力に切り替える。関西電力が供給していたが、4月の値上げなどを受け数%安い東電に変える。今後は他の地域でも割安な電力会社に順次切り替える方針。・・・」という。道路や鉄道と同じように電線も日本中に連絡しているし、新幹線にしても東京から鹿児島まで乗るのにいちいち名古屋や大阪、またまた博多で降りて清算する馬鹿はしない。ところがだ、原発が稼働していた2010年の関西電力の原発依存度は九州電力(46.4%)のそれを超える50.9%(震災前の2010年データ)。福島第一原発も稼働していた時の東電の原発依存度は31.8%。原発依存度が低い会社の方が原発が稼働しない場合、電気を安く供給できる理屈になる。が、コンビニひとり勝ちで電力巨大消費企業が安いからと云って安易に越境調達するのは如何なものか。原発再稼働の雪崩現象を招く危惧があるからだ。他のコンビニや企業が追随する可能性も高く、電気料金の値下げ競争の利点もあり得るが、その前にドイツの「閉店法」※ではないが、国を挙げて消費電力の削減策を模索する必要があろう。※ドイツの「閉店法」は戦後1957年に旧西ドイツで施行され改正を重ねて現在では、平日と土曜が7時~20時の開店で、日祝日は閉店。薬局や空港などの例外はあり。理由は①宗教(礼拝)、②労働時間(労働者の長時間労働を防ぐ)、③小規模小売店の保護。実施しているのは、ドイツだけではない。つづく。8月16日。
●桜島が危ない。昨年9月28日の「親仁ギャグ」。●「それだけに他人事と考えている人はいないだろうが、近近の桜島も安心できないらしい。桜島と大隅半島は1914年(大正3年)の大噴火により陸続きとなったのだが、この噴火によるマグマの噴失で錦江湾は1メートルも地盤沈下したという。ところが、最近の研究でほぼ大正大噴火前まで戻っていることが判明している。大正の大噴火がいつ(今にも)再現されてもおかしくないレベルまでマグマは蓄積充満している。1914年の大噴火ではわずか3日間で噴煙が日本国全土を覆ったとのこと。川内原発は大丈夫か・・・本当に他人事ではありません。※桜島は約2万6千年前に鹿児島(錦江)湾内の海底火山として活動を開始した。」。以下、Wikipedia「桜島」の大正大噴火を抜粋。「一連の噴火によって死者58名を出した。流出した溶岩の体積は約1.5km3、溶岩に覆われた面積は約9.2km2、溶岩流は桜島の西側および南東側の海上に伸び、それまで海峡(距離最大400m最深部100m)で隔てられていた桜島と大隅半島とが陸続きになった。また、火山灰は九州から東北地方に及ぶ各地で観測され、軽石等を含む降下物の体積は約0.6km3、溶岩を含めた噴出物総量は約2km3(約32億トン、東京ドーム約1,600個分)に達した。噴火によって桜島の地盤が最大約1.5m沈降したことが噴火後の水準点測量によって確認された。この現象は桜島北側の海上を中心とした同心円状に広がっており、この中心部の直下、深さ約10kmの地中にマグマが蓄積されていたことを示している。」。つづく。8月16日。