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今週の親仁ギャグ・2016年6月12日(日)~6月18日(土)

「ケチ」と「セコイ」の譚-その1-京都編。まずは池波正太郎の文章から。「おたみは、京の女である。京の町の暮しが、身にも心にも、しみこんで育った娘であった。いまでも、京都へ行くと、半次郎やおたみが、この町に暮していたころの家がいくらも残っている。いや、町中のどこへ行っても見ることが出来る。その町家の間口のせまさにくらべて、何と奥行の長いことか。俗にいう[うなぎの寝床]そのものの民家がほとんどである。一日中、日当たりが悪く、風通しもよろしくない。昼でも灯をともさぬと物がよく見えぬ屋内での暮しが、いまもってつづけられているのだ。気温は温和でも、夏はむし暑く、冬はひどい底冷えがするというのに、このような家の建て方ではたまったものではない。風光明媚な皇都に、なぜ、こうした家が建ち、人の暮しがうまれたのか。こんなことをいうものもいる。天皇の住む御所が南向きなので、それと同じ南をあけ放っては、おそれ多いという往古からの習慣がそのまま受けつがれてきたのだと・・・・・・。また、こうもいわれている。京都は、むかしから権力争いに巻き込まれ、厭というほどに戦火をこうむった。京都を中心にした戦史は数えきれなぬほどである。そのたびに、京の民衆は家を焼かれ、路頭に放り出された。明日はどうなるか知れたものではないという不安と戦慄とを、京の人々は何度も体験してきた。いきおい、警戒心がつよい。家の窓や戸口をひろげぬのも、この伝統的な心情が、そうさせるのであるという。物を大切にするのも、このためだ。社会の変動が、むごたらしい現実となって京都へ集中するのであるから、明日への蓄積をおこたるわけにはいかない。陽がさしこまなければ、道具も畳もいたまぬというわけだ。現代は旅館なども冷温の設備が、かなり改良されたが、数年前までは、冬に京都をおとずれると、たまったものではなかった。立派な旅館でも、客室にある火鉢に火が入っていない・・・・・・と思って、よく見ると入るには入っている。火箸で灰の中をかきまわすと、おこった堅炭が顔を見せる。筆者のような、東京育ちの、火鉢の火は、顔がやけるほど勢いよくないとあたった気がしないというものには、これが、まったくたまらなかった。だが、よく考えてみると、こうした京都人の性格を、ただ単に吝嗇だと言いすててしまうことはなるまい。火災に対する徹底的な用心ぶかさを、くみとることが出来るのである」(池波正太郎「人斬り半次郎・幕末編」pp413~415・新潮文庫)。物心ついたころから、京都人の吝嗇についてはよく聞いてきましたが、どういうものでどの程度かは知りませんでした。歴史的な背景があるとは理解していましたが、人に問われて答えられる程の見聞もありませんでした。舛添君の「公私混同」はセコイとかケチのレベルでなく、別種のものでしょう・・・という譚です。身近な人間が最近、京都で生活していたんですが、家賃と外食は東京並なのに、給与は宮崎並でした。世界屈指の観光地ですから、町家に住むような商売人は儲けていない筈はないです。非常時のために、がっぽり貯め込んでいるということになりましょうかつづく。6月17日。

ピート・ローズ(記録は37歳で達成)のコメントを意識しての「日本単独で、4257本の記録を達成するほうがより難しい」とのイチロー弁。珍しく仄かに涙ぐんでいたようだ。国内では張本勲氏(現役は1959~1981の通算23年)の3085本が最高で、かつ3000本安打は彼ひとり。因みにメジャーでは現在まで29人。あと21本でイチローが30人目。そのピート・ローズも張本氏も同じ歳の75。こうなりゃ、参院選もあることだし、安倍ちゃんはイチローへ国民栄誉賞を贈らなくちゃな。6月16日。

●きょうはやっぱり「Hit King」のイチローでしょう。日米通産4257本のヒット。日本で1278本、16年間のメジャーで2979本。イチローの偉業の原動力は「人に笑われた」ことという。現在42歳で、50歳までの現役をめざす。それにしてもピート・ローズの「高校野球のヒットまで数えているのでは?」というコメントは残念だ。対記録達成はイチローらしいキャッチャー前内野安打。新記録はライト戦への2塁打。あと8年、メジャー単独での4257まであと1278本(当然、日本での安打数)・・・イチローならやれるかも、やってくれるかも。「人に笑われた」なら「笑った人」にアッパレ!!! 6月16日。

本丸は「政治資金規正法」と「地方の知事など首長の行政姿勢」。舛添さんは、為政者の代表として血祭りに上げられたのであって、国会議員の「公私混同」については何ら解決されていない。支出について、領収書は添付されるが、その明細については義務がない。では、そのようにすべきである。今はネット上で各議員の個別の領収書を確認することが可能らしいが、舛添問題から浮かび上がった「法の不備」については改善すべきであろう。当の舛添さんは、自身の「公私混同」はその他大勢の国会議員に比較してそれほど大したことでない・・・と思っている筈。「行政(勤務)姿勢」は「一日の首相動向」なんてのがあるように、地方の首長についても、勤務時間内の最低限についてはその行動内容を公開すべきであろう(もちろん、公開している自治体もあるが)。週に2回の登庁なんてのは、庶民感覚からすれば到底承服できない。「公私功罪」という四字熟語はないが、今回の舛添問題は「私罪」であり、これを機会に舛添の「公功」としなければならない。6月15日。

●「くま」の譚。ツキノワグマは「」でヒグマは「」。「」は網で捕獲するから。网=罒で网は呉音でモウ(マウ)、漢音でボウ(バウ)と読み、象形文字で意味は「あみ。物にかぶせておおい隠すあみ」。は、日本では北海道だけに棲息。ツキノワグマは九州以外の全域。九州のツキノワグマは1957年の確認が最後。羆はもちろん獰猛で人を襲うが、ツキノワグマは人間を襲って食べることはないものの、出会い頭などで驚いた場合は人間を襲う場合がある・・・とされてきた。ところがだ、秋田県鹿角の事故(4人死亡)から、ツキノワグマが人を襲撃して食肉とすることが証明された・・・かも伊藤久男の歌う「イヨ(オ)マンテの夜」(羆送り・羆祭り)にあるように古来よりアイヌの神聖動物である。人間がクマの縄張りに侵入し過ぎたことが要因であろうか。マタギ(山立=やまだち)が減ったことに因るのであろうか。人間本意の理屈で彼らの生態を蝕んでよいのであろうか。真剣な対応が必要だろう。6月15日。

●「疑惑の総合商店」・「公私混同」・「厚顔無恥」・「四面楚歌」・・・そして「死人に口無し」・・・などと造語・四字熟語・諺のなんでもあり元敏腕政治学者。ケチについて、彼の立川談志は「病院でもらった子供の風邪薬の残りを親が飲む」とか言ったそうな。天才立川談志にしてもケチの程度はこんなもんですぞ。ところで、ケチと隣合わせのような性(さが)に「」があろうが・・・命をはってのタケノコ取りで、熊に食い殺される。秋田の鹿角で駆除されたツキノワグマの胃袋から人体の一部が見つかったという。拙者は熊の話題が出るたびに、吉村昭の「羆嵐」の内容を紹介する。これについては何回か「親仁ギャグ」で書いているが、人を襲う熊は狙ってそのタイミングを探っている。偶然に出くわしたのではないことを知るべきだ。「羆嵐」(くまあらし)を読んでたら、熊のいる山に入ろうなんて思う人間は少なかろう。欲が張って命を捨てるとはこのことだ。「無給」の「全身全霊」で都政に励むという舛添君、髪は乱れ、少しやつれたようですが、視るのも哀しいレベルまでその権威は失墜していますぞ。開き直りを通り越しての議会への「脅し」ともとれる不信任案提出への牽制。早く真実を「白状(百条)しても委員会」・・・って感じですが。舛添君のようなエリートにも意外に「金がすべて」という人種が多いようだ。大企業の上層なんてのは大変な年収ですが、それに比肩しようと意地を張り、形(なり)振り構わず拝金に奔るようである。名誉職に拝金主義は馴染まない。政治屋は拝金主義者であり、政治家は名誉職であり民の為に「全身全霊」を注ぐ、傾注しなければならない公僕である。因みに「けち」は「金品を必要以上に惜しむこと。しみったれなこと。また、その人。吝嗇(りんしょく)」・「せこい」は「けちくさい。みみっちい」(広辞苑)つづく。6月13日。

●歴代のアメリカ大統領で実績と人気があり、かつ異色の経歴の持主がロナルド・レーガン(1911~2004)だ。40代大統領で任期は1981~1989。ハリウッドの俳優時代はスパイ活動で「赤狩り」の協力をしていたという。その後アナウンサーを経て、1967年に第33代カリフォルニア州知事に就任。その任期中、激戦状況のベトナム戦争(1960~1975)に関して「ベトナムを焼き払って駐車場にすればいい」と過激発言。しかしだ、もっぱらの自由主義者の彼は、大統領就任後、内政ではレ―ガノミクス、外交では冷戦終結や東欧民主化への貢献などで敏腕を披露した。大統領になるのはアメリカンドリームの筆頭格であろうが、反面、選ぶほ方もそれを渇望する向きのあって然りかもしれない。そこでトランプ氏がそのドリームを手中にするかどうか。仮に大統領になったとき、今までの言動を反故にし、名大統領のレーガンのような豹変が可能か・・・興味が湧かないまでもない。トランプ氏とレーガンは同じ共和党。アメリカで大統領にしたい(正確にはなって欲しかった)人物の第一位はジョン・ウェイン(1907~1979)とも。そういうお国柄なのだろう。どこかの国の首都のトップのように、高い地位に登りつめるなり、せこく豹変するよりはましかも。6月12日。

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