●「大臣の器と国民の不幸」
△8日の西村経済担当相の発言んび非難が殺到している。その発言は「(休業要請などに応じない飲食店に)こうした情報を金融機関としっかり共有しながら、順守を働きかけていく」というもの。分かりやすく言えば、飲食店に融資している銀行が、酒の提供を続ける融資先の店との取引停止を求めたのだ。どこのお坊ちゃま大臣か知らないが、ほとんどのいかなる事業者も銀行から借金しているを知らないのか。このコロナ禍の東京はじめ隣接の3県、それに大阪、沖縄、福岡などの地域は、まさに生きるか死ぬかの死活問題である。今の時代は保証協会なるものが存在するが、30年も前は融資と同時に億単位の生命保険に加入しなければならなかった。
△何故に休業要請や時短営業を守らないのか、守れないのか。補償金が少ないのか出るのが遅いのか、経営者側には色んな事情がある。金儲けだけを考えての要請拒否なのか。それならば、少なくとも行政が各店舗に足を運んで指導なりすべきであろう。西村氏本人が見回り訪問をしたって罰は当たるまい。西村氏も官僚出身であるが、まさに官僚的な発想と発言であり、虫の良い話である。
△無借金といわれたトヨタでも2020年5月、新型コロナウイルス問題に伴って手元資金を確保するため、複数の国内金融機関から総額1兆2500億円を調達した。われわれ極小規模の事業所でも、所得税に事業税などの税金を払い、残りの金でせっせと借金を払い続けている。
△一説には、東京オリンピックの総経費は3兆円を超えたとも。どこにどう巡って誰が損をして誰がほくそ笑んでいるのか。この程度の意識レベルの大臣が経済再生やコロナ問題を主導していることは、日本にとって不幸である。大臣さんよ、渋沢栄一なんて勉強したことないなんてないよな。つづく。7月10日。
●「ギロチンの刃が落とされた」
△東京オリンピックの1都3県、首都圏開催分の競技の無観客が発表された昨日、これを世界の主要メディアはトップニュースで報じた。東京で4度目の「非常事態宣言」(7月12日~8月22日)が発出されたことによる「無観客」である。政府は有観客のためさまざまな方策を模索してきたが、それがかえってアダとなったのである。東京オリンピックの有観客宣言は、都民はじめ国民に対しては「自粛の緩和」のシグナルを送ったことに他ならないからだ。
△心の「自粛緩和」は、飲食や外出を増加させ、感染者の増大を招き、そして「非常事態宣言」の発出に至ったということだ。この度の「無観客」で世界のオリンピック関係者やスポンサー関係、マスコミの入国者にどの程度の影響があるのか、これは今後の発表に注視しなければならないが、間違っても外国人は入れるが日本人はゼロということがあってはなるまい。
△そこで、そもそものオリンピックの強硬開催をするのであろうか。未だ首相やJOC関係者からの明確な説明がない。オリンピック・インバウンドが制限され無観客となれば、2021年4月の現在、膨張した開催の総経費は1兆6440億円とされ、そのうちの国と都の負担は約9000億円と決まっている。ほぼ約1兆円という巨額を費消している日本にとっては大赤字である。それでも得をするのは一体だれなのか。ずばり、IOCと巨大放送局である。それもずばり、アメリカ3大ネットワークのひとつであるNBCユニバーサルである。
△東京オリンピックでのNBCネットワークのスポンサー収益は史上最高とされ、東京オリンピックの強硬開催に米国民からも批判が出るほどだ。何故に秋に延期をしないのかという理由は、周知のとおり、アメリカではその時期、アメリカンフットボールやバスケットボールはじめ国民的スポーツの繁忙期だからである。オリンピックでも国内のスポーツ放映でも儲けてやろうという考えである。パンデミックによる日本国民の犠牲や世界のオリンピアンの不幸など一顧だにしていないのである。つづく。7月9日。