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若者よ、今がチャンス。

年末の夕刻、電話で営業時間を確認して某鰻屋へ出発。ところが土曜日なので車が混んでいて営業時間に間に合いそうもないので、予約はできないとのことであったが、途中で電話して断る。そして年初のある日夕刻、営業開始時間を電話で確認して、ようやく来店。この店は私好みの店で、遠方だが年に数回は通っている。コロナ前やシラスウナギの不漁前は、営業時間も長かったし、何よりも店内には鰻を焼く香ばしい匂いが漂っていた。

しかし今回は、その鰻の匂いがほぼ消失。その原因はどうも予めの素焼きをしてい、オーダーが入ると地焼きに入るという工程を踏んでいるのであろう、と想像された。想像であるのは、カウンター内の焼場は全く見えないから。そうでない限り、出された鰻はもっと温かであろうし、ふっくら柔くなくてはならないし、先ずをもって、店内に焼の煙が漂い芳醇な香りの空気が流れていなくてはおかしいのだ。素焼きから地焼きに入ってから数回、タレに潜らせ(浸す)ないと蒲焼とは言えないのであるからして、煙の立たないのはどうにも今もって解せない。今までと一変した光景である。

殿様商売の風太郎が他店に講釈するのは憚らなければならないかもしれぬが、昨今の日本の商売振りはこの鰻屋に限ったことではない。冷凍食品やレトルト、真空パック、そして手抜きがところどころに散見される。

周知のように、鰻職人(鰻屋)には「 串打ち3年、裂き8年、焼き一生」という格言がある。しかし現今、鰻に限らず商売(開店)に打って出る年数はそこまで長くを要しないであろう。それよりも「焼き一生」を継続することの方がはるかに重要だ。捌きや串打ちや焼きの流れをとりあえずマスターするには、一度は鰻屋の弟子入りも必要だろうが、それからは鰻を千匹だろうがそれ以上だろうが自分で仕入れ、「捌き」「打ち」「焼き」の行程を繰り返す。そして、それからは一生、焼きに労力を惜しまないことだ。

これだけ情報が溢れた時代、鰻屋に限ったことではなく、若い人にとって、今、商売はチャンスである。その証拠に、脱サラして成功している飲食店はごまんと存在する。

呵呵(つづく)

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