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今週の親仁ギャグ・2020年6月7日(日)~6月13日(土)

ウイルスの功罪
▼地球が誕生したのが、なんと46億年前であります。はじめは高温だったため、水はありませんでした。2億年かけて冷えた地球に海が誕生したのが44億年前です。が、それ以来ずっと水が存在したわけではなく、たびたびの微惑星衝突により海のあったりなかったりを繰り返してきたのです。そして海が常時存在するようになったのが38億年前のことです。水の存在は生物の誕生に欠かせないものです。最初の生物は一つの細胞しかもたない単細胞生物でした。その単細胞が進化を繰り返し、新人と云われるわれわれ人間が誕生したのですが、それはつい最近の20万年前ということです。そして現在の生物種は約870万種とされています。

金之助「気の遠くなる譚じゃにゃん。生物誕生が38億年前となると、われわれ猫の寿命の何倍になるにゃんか。頭が割れそうな数字じゃにゃんか」

主人先生「そうじゃそれが天文学的な数字と云うやつじゃな。きょうはコロナウイルスの譚じゃがな、ウイルスはエイズにしろエボラにしろ狂犬病にしろ、ほんとうに憎き生き物なのじゃが、ところがどっこいすべてのウイルスが悪者じゃないらしいんじゃな」

金之助「ほほお、それはまことですか。いったいどういうことにゃん?」

主人先生「天文学的な時間の中で、われわれヒトの遺伝子にはウイルスの感染によってその遺伝子(DNA)が組み込まれ、遺伝情報として一体化していると云うのじゃな。その数字とやら、なんとヒトゲノム全体の約8%というから、こりゃ凄い。ヒトゲノムで生命活動に係るのが1~2%程度なんじゃから、この8%という数字は只者じゃない支配じゃな」

金之助「それならわれわれ猫のゲノムも同じ可能性にゃん。組み込まれたウイルスはどんなことに貢献しているにゃんか」

主人先生「そうだよな、そこが興味津々じゃろな。ある研究者によると、『約1億6000万年前に哺乳類の祖先にあるウイルスが感染し、これがきっかけで胎盤ができあがった』と云うんじゃ。また、『哺乳類の別の遺伝子も約1億5000年前に感染したウイルスで胎盤の毛細血管ができるのに欠かせない』らしいぞ」

金之助「それは生物にとって革命的事変じゃにゃんか。憎きコロナ、憎きウイルスと思っていたが、そうとは云えないばかりか、今まで進化を遂げてきたわれわれ猫にとっても、少なからずウイルス感染の恩恵を受けてきたということにゃん」

主人先生「流石は漱石先生と同名の金之助じゃ、天才じゃな。猫も人間と同じ哺乳類じゃからな。驚くことなかれ、脳の発達にもウイルス感染(遺伝子組み込み)がかかわっており、『複雑になった脳の働きを、ウイルスがもたらす新たな遺伝子が制御している』と云うんじゃな。その他にもな、花に感染したウイルスが花の色を変えている事象が確認されているし、蛾の幼虫に感染したウイルスがその幼虫を葉の先端へ移動するよう指令を出して誘導し鳥の餌食として目立たたせているとの報告もあるそうな。鳥に捕食させることでウイルス自身の拡散を目的としているんだな。そもそもウイルスとは自己増殖できないことから生物ではないと考える専門家もいるようだけど、ここまで解明されると立派な生き物だな。まあ、金之助も吾輩も哺乳類じゃからな、とくに君たち猫が多産なのもしっかりした胎盤のお陰じゃからの、ウイルスに取り敢えず感謝じゃな」

金之助「主人先生が昔の映画で『猿の惑星』の譚をしたことがあるにゃん。天文学的な時間で、今後、人間が他の生物によって支配されることもありうるってことにゃんですか 」

主人先生「そうじゃな、今回のコロナ騒動でも、ある国の研究室で遺伝子操作が行われ、新型が造られたとの噂もあるからな。もっと飛躍すれば科学的にはモンスター生物を創造することも可能だとなるよな。金之助、『猫の惑星』も夢じゃないかもな。これには、宇宙的時間の必要はないかもな。怖い話じゃな。ところで金太郎君よ、現在の君の体に機能的ウイルス遺伝子を組み込んで欲しいならどんなものが所望かい」

金之助「時にワクチンや血液検査のため注射をされるのは嫌にゃんが、今の生活にまあまあ満足してるにゃん。でも贅沢を言わせてもらっていいでしょうか。そうだな、猫仲間といがみ合うような性質を正し温和で誰とでも仲良しになれるようなウイルス遺伝子、それにどんなウイルス病にも罹らない遺伝子、さらには交通事故に遭わない超俊敏性遺伝子じゃにゃん。これなら鬼に金棒ですにゃん、夜と云わず昼と云わず、外を自由に徘徊できますにゃん。そして淡くて甘いたくさんの恋がしたいもんにゃん」

主人先生「そうか、てっきり好物の鰹や鯵や鰯の新鮮な生魚を思う存分喰えるように、大海の鯨やイルカのもつ捕食能力ウイルスの遺伝子かと思っていたら、色恋かよ。それを言われちゃ、金之助の去勢をした手前、ゴメンとしか・・・・・・。まてよ、もしや金之助、老い耄れロートル親仁の代弁かよ・・・・・・やはりそうか、その顔は・・・・・・したりじゃな」

ウイルス遺伝子の情報は日経新聞の連載「驚異のウイルス①(2020年5月24日)・②(同5月31日)・③(同6月7日)」を引用、参考としました

6月13日。

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